「I/Oエミュレーション」は,I/O速度に比例してプロセッサ・リソースを消費

 次に図7を見てもらいたい。これはディスクI/Oに伴うプロセッサ・リソースの消費量を計測したものだ。プロセッサ利用率の値は,仮想化環境では「esxtop」コマンド,物理環境ではWindows OS上の「パフォーマンスモニタ」から取得した。

図7●I/O負荷によるプロセッサ・リソースの消費
図7●I/O負荷によるプロセッサ・リソースの消費

 プロセッサ消費量の比較では,物理環境と仮想化環境で明確な差が出た。同じディスクI/O負荷を生成したにもかかわらず,物理環境ではプロセッサ・リソースが少ししか消費されていないのに対して,仮想化環境では少なからぬプロセッサ・リソースが消費されている。

 図7においてReadとWriteでプロセッサ利用率に差が出ているのは,ディスクI/O速度の違いによるものと考えられる。図6で示したように,ReadのディスクI/O性能に比べ,WriteのI/O性能は30%ほど低い。その分だけWriteのI/O時間が長くなり,単位時間当たりのプロセッサ利用率が低く見えている。図8は,図7の計測結果をI/O速度(10MB/秒)当たりのプロセッサ利用率に変換したものである。これを見ると,ReadとWriteの差はほとんどない。仮想化環境におけるプロセッサ・リソースの消費量は,「I/Oエミュレーション」の量(同時アクセスする量)に比例して増えていると言えそうだ。

図8●I/O速度(10MB/秒)当たりのプロセッサ・リソース消費
図8●I/O速度(10MB/秒)当たりのプロセッサ・リソース消費

 無論,どれくらいのプロセッサ利用率になるのかはプロセッサの処理性能による。同じディスクI/Oでも,動作周波数が高いプロセッサなら相対的にプロセッサ利用率は下がるし,1クロック当たりに実行できる命令数が多いアーキテクチャのプロセッサの場合でもプロセッサ利用率は下がるからだ。AMD-VやIntel VTといったプロセッサの仮想化支援機能を使うか否かによっても左右される。

 しかし,ここで示した数値は,実際に仮想化環境構築を検討する上での目安にはなるだろう。Intel VT-xを利用した今回の検証環境では,I/O速度(10MB/秒)当たりの平均プロセッサ利用率が3.73%,動作周波数換算で「119MHz」であった。

 なお,R1,R2およびW1,W2が,それぞれR3,R4およびW3,W4よりもプロセッサ利用率がわずかに高い。その理由は,「DiskStress.exe」で同時により多くのファイルを読み書きしているからであり,適切と考えられる。

仮想マシンが動作すること自体の負荷

 最後に,OSをインストールした直後におけるアイドル時の仮想マシンのプロセッサ利用率を130秒間計測した(図9)。「仮想マシンが動作すること自体の負荷」を調べるためである。物理環境ではほぼ0%であることを考えると,仮想マシンの動作にある程度のプロセッサ・リソースが使われていることが分かる。なお,今回の検証環境では,平均プロセッサ利用率は2.14%,動作周波数換算で「69MHz」であった。

図9●アイドル時の仮想マシンのプロセッサ利用率
図9●アイドル時の仮想マシンのプロセッサ利用率


検証環境のシステム構成
 検証に利用したハードウエアとソフトウエアは以下の通り。物理環境と仮想化環境で同一のハードウエアを使用しているが,HDDを差し替えることで物理環境と仮想化環境を切り替えた。HDDの仕様は同一である。

【ハードウエア】
(1)物理環境
  HP ProLiant DL580G4(Intel VT-x対応)
  Xeon 7130M(デュアルコア,3.2GHz)×4
  16GBメイン・メモリー
  SmartアレイP400/256(Writeキャッシュなし)
  HDD 72GB(1万rpm)×4
  Gigabit NIC ×2

(2)仮想化環境
  HP ProLiant DL580G4(Intel VT-x対応)
  Xeon 7130M(デュアルコア,3.2GHz)×1
  4GBメイン・メモリー
  SmartアレイP400/256
 (Writeキャッシュなし,仮想化環境ではLSI Logic SCSI Controllerとして認識)
  物理環境と同仕様のHDDに仮想ディスク(Hard Disk 1,Hard Disk 2)を構築

【ソフトウエア】
(1)物理環境
  Windows Server 2003 R2,Enterprise x64 Edition with Service Pack 2
  ディスクI/O負荷生成プログラム「DiskStress.exe」

(2)仮想化環境
  VMware ESX Server 3.5.0,64607(Intel VT-xを利用して動作)
  Windows Server 2003 R2,Enterprise x64 Edition with Service Pack 2
  ディスクI/O負荷生成プログラム「DiskStress.exe」


飯島 徹(いいじま とおる) 日本ヒューレット・パッカード
 日本ヒューレット・パッカードのIAサーバ技術部に所属するエグゼクティブ・コンサルタント。国内大手システムインテグレータにおいて,システム開発およびインターネット事業に従事した後,ハードウエア好きが昂じて現職に。趣味はOSのネットワークまわりをいじって遊ぶこと。最近ではもっぱらVMware Infrastructureが心を満たしてくれている。

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