昭和シェル石油は12月7日、東北大学との共同研究により、食糧と競合しないバイオマス原料からガソリン基材として利用できるヘキセンの生成に成功したと発表した。ヘキセンはジェット燃料相当の炭化水素に変換でき、ジェット燃料基材の製造にも展開していくとしている。

 食糧と競合しないバイオマス由来のセルロースやそれらを糖化/水素化処理して得られるソルビトールを原料として、東北大学が開発したIr-ReOx/SiO2触媒や東北大学との共同研究で開発したPt-Ir-ReOx/SiO2触媒を用いて、原料中のC-O結合を選択的に水素を用いて分解してヘキサノールを製造。生成したヘキサノールをH-ZSM-5触媒を用いて脱水反応させることでヘキセンが得られる。

バイオマス燃料製造技術のイメージ
(出所:昭和シェル石油)

 同技術と他の次世代バイオ燃料を製造する技術を比較すると、「バイオマスのガス化/FT合成」や「バイオマスの熱分解/水素化」より反応温度を抑えてエネルギー投入量を減らせる可能性がある、「バイオマス由来の糖の水相改質/縮合/水素化」より反応構成が少なく反応に用いる水素量を低減できる、「バイオマス由来の糖の酵母菌等の微生物による発酵」より反応速度が大きい、といった特徴がある。

 さらに、Pt-Ir-ReOx/SiO2触媒は、原料のソルビトールから直接水素を取り出して利用できる。同社では、ソルビトール由来の水素を一部使用することで、天然ガスなどの化石燃料から製造される温室効果ガス排出量の多い水素の使用量を減らして、従来の石油由来のガソリンに対して温室効果ガスの削減効果が50%以上のバイオ燃料の研究開発に取り組んでいる。

 今回、ラボレベルでの実験でセルロース(0.5g)を原料に、Ir-ReOx/SiO2触媒でヘキサノールの生成(収率60%)に成功した。また、H-ZSM-5触媒を用いてヘキサノールの脱水反応によるヘキセンの生成(収率79.8%)に成功した。

 今回生成したヘキセンについて、夏季および冬季の代表的なガソリンへの混合可能量をJIS規格に照らして調査したところ、それぞれ約22vol%および約7vol%混合できることを確認した。日本では、バイオエタノールのガソリンへの混合率は、JIS規格で3vol%が上限(E10対応ガソリン車は10vol%)となっているため、バイオエタノールと比べてより多くガソリンに混合できるという。

 同社は現在、ラボレベルにて同触媒変換技術のプロセスを開発中。今後は段階的なスケールアップを経て、2025年までに同技術の確立を目指す。

Pt-Ir-ReOx/SiO2触媒
(出所:昭和シェル石油)
[画像のクリックで拡大表示]