半透明ペロブスカイト太陽電池の写真と構造
(出所:東京大学)
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半透明ペロブスカイト太陽電池のコンセプト図
(出所:東京大学)
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 東京大学は11月29日、半透明ながらエネルギー変換効率9.7%と高効率のペロブスカイト太陽電池を開発したと発表した。人間の視覚は青(短波長)や赤(長波長)の光にはそれほど敏感ではないという特性を利用し、それらの光を効率よく吸収してエネルギーに変換することで、エネルギー変換効率を落とさずに透明度を高めた。

 従来の半透明ペロブスカイト太陽電池は、不透明な金属電極を薄くするほか、ペロブスカイト層を薄くしたり不連続な島状にしたりすることで、光吸収を減らして半透明化していた。そのため、ペロブスカイト層を減らした分だけエネルギー変換効率も低下していた。

 今回、銀電極の厚さを光の波長より1桁以上薄い10nmに、ペロブスカイト層の厚さも180nmに薄型化した。その一方で、一辺の長さが約70nmの銀ナノキューブを導入して長波長光の吸収を補助することで、ペロブスカイト層を薄くしたことの損失を抑えた。人間の視覚感度も考慮した「視覚透明度指標」は、ペロブスカイト層を薄くする前と比べて28%向上したという。

 ペロブスカイト層は波長が短い光ほど効率よく吸収し、波長の長い光ほど吸収しにくくなる。波長の長い赤色光に対する変換効率を高めるために、金や銀などのナノ粒子が特定の波長の光を吸収する「プラズモン共鳴」という現象を利用した。

 金属ナノ粒子は、光吸収によるエネルギーを近くの物質に渡す性質「アンテナ効果」を持つ。また、研究グループは銀ナノキューブと電極を近づけることで吸収する波長を自由に変えられる「電極カップリング効果」を既に発見している。この2つの効果を組み合わせることで、赤い光のエネルギーをペロブスカイト層に渡して長波長でのエネルギー効率を高めた。

 今回開発した半透明太陽電池は、住宅やオフィスビルなどの窓ガラス、サンルームやカーポートの半透明屋根、自動車やバスのスモークガラスやサンルーフなどへの応用が期待されるとしている。