ドナーアクセプター交互配列構造体のイメージ図
(出所:京都大学)
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 京都大学は4月27日、仏高等師範学校(ENS)と協力し、有機太陽電池の究極的な理想構造とされる、2種類の異なる分子が規則的かつ交互に配列した構造体を作り出すことに成功したと発表した。この構造体の電荷寿命は、従来の約1000倍となる1ミリ秒を超え、非常に不安定な電荷を飛躍的に安定化させることに成功したという。

 有機太陽電池は、光によって電子を放出しプラスの電荷を帯びるドナー分子と、電子を受け取りマイナスの電荷を帯びるアクセプター分子から構成される。これらの分離された電荷は非常に不安定であり、性能向上には電荷分離状態を効率よく作り出し長時間維持することが重要になる。

 ドナーとアクセプターが規則的かつ交互に配列した相互貫入型構造は、高効率に長寿命の電荷分離状態を作り出すことができる。しかし、一般的にドナーとアクセプターはランダム(無秩序)に混ざり合ってしまうため、配列を精密に制御するのは困難だった。

 研究チームが注目したのは、金属イオンとそれをつなぐ有機物から構成され、周期的なナノサイズの空間を持つ多孔性金属錯体(MOF)。アクセプター部位を持つMOFとドナー性の高分子を複合化させることで、MOFの骨格構造を反映し、ドナーとアクセプターが分子レベルで規則的に並んだ「MOF/ポリマーナノハイブリッド材料」の創製に取り組んだ。

 チタンイオン(IV)とメチレンジイソフタル酸を混合することで、酸化チタン部位を持つMOFを新たに合成。構造解析の結果、酸化チタンナノワイヤーと有機部位から構成され、整列した一次元ナノ空間を持つことが分かった。このMOFの一次元ナノ空間内でドナー性高分子であるポリチオフェンを合成することで「MOF/ポリマーナノハイブリッド材料」を創り出すことに成功した。同構造体は、光によってポリチオフェンからMOFへ電子の移動が発生し、電荷分離状態を発現する。

 今回の成果は、MOFの骨格構造を反映させることで、ドナーとアクセプターの集合状態を分子レベルで合理的かつ緻密に作り出せることを実証し、光電子デバイスの高効率化に向けた材料設計に有用な指針を与えるという。研究グループは今後、同材料を用いて実際にデバイスの作成に取り組む予定。