ホットメルト手法により布地に貼り付けた超薄型太陽電池
(出所:理研)
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新開発の半導体ポリマー「PBDTTT-OFT」と従来材料「PBDTTT-EFT」の構造式
赤枠の側鎖により高い結晶性と耐熱性を実現した(出所:理研)
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加熱温度に対するエネルギー変換効率の変化
(出所:理研)
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 理化学研究所(理研)、東レ、東京大学、米カリフォルニア大学サンタバーバラ校、早稲田大学らの国際共同研究グループは4月17日、耐熱性とエネルギー変換効率を両立した「超薄型有機太陽電池」を開発したと発表した。熱で溶ける接着剤による接着プロセス「ホットメルト手法」を用いて衣服に直接貼り付けられる。

 今回開発した超薄型有機太陽電池は、基板から封止膜まで全てを合わせた膜厚が3μmと極薄ながら最大エネルギー変換効率10%を達成し、100度の加熱でも素子劣化が無視できるほど小さく高い耐熱性を備えたという。また、大気環境中で80日間、保管後の性能劣化も20%以下に抑えた。

 エネルギー変換効率の高さと高耐熱性を合わせ持つ新しい半導体ポリマー「PBDTTT-OFT」を開発。これまで有機太陽電池の材料として広く使われてきた「PBDTTT-EFT(またはPTB7-Th)」と骨格は似ているが、直線状の側鎖を持つのが特徴。これにより高い結晶性を持つ膜を形成でき、加熱による導電性の低下が従来素材より小さいことを見出した。

 このほかにも、超薄型基板材料に従来用いられてきたパリレンより表面平坦性と耐熱性に優れた透明ポリイミドを採用することでエネルギー変換効率と耐熱性を高めた。また、撥液性に優れたポリマーとガスバリア性に優れたポリマーの2層からなる封止膜構造(二重封止膜)を用いることで大気安定性を改善した。

 5cm角の超薄型基板に有機太陽電池を110個形成して電気的に接続することで大面積モジュールを作り、疑似太陽光(出力100mW/cm2)照射時における最大電力36mAを達成した。また、ポリウレタン製メルトフィルムを用いて太陽電池をポリエステル布地に加熱圧着し、太陽電池の特性変化や劣化がほとんどないことを確認した。

 今回の成果は、ウエアラブルデバイスやe-テキスタイルのほか、車内など高温多湿環境下でも安定して駆動する軽量な電源の実現に貢献すると期待される。