調査会社の米フロスト&サリバンは2月13日、ブロックチェーン技術の導入によって「分散エネルギーによる発電モデル」が実現し、現在の電力事業者と消費者の事業取引モデルに変革が起こる可能性があると発表した。

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 同社が最近刊行した報告書「デジタルグリッド ―― ブロックチェーン技術による事業機会をフル活用」で明らかにしたもの。

 同報告書では、電力網における信頼性や効率の改善、再生可能エネルギー電源における設備投資の低減、消費者同士のピア・ツー・ピア(P2P)取引などを実現するために、破壊的な変革が起こり得ると予測している(関連記事1)(関連記事2)(関連記事3)。

 また、米国のデジタルグリッド市場を精査し、市場規模、既存の用途や今後出現するエネルギー用途などの概要を詳しく分析した。その際にカギとなるインパクト、メリット、課題、注目すべき企業、事例などもカバーした。

 デジタルグリッド分野におけるブロックチェーン技術の適用によって、5つの用途が事業機会になり得ると指摘している。

 (1)小売りと電力量計測の請求処理プラットフォーム、(2)P2P取引や再エネ認証向けのプラットフォーム、(3)国際的なエネルギー取引、(4)電気自動車(EV)やビークル・ツー・グリッド(Vehicle-to-Grid:V2G)、(5)顧客管理である。

 ブロックチェーンの分散台帳としての利点や、非集中的なデータ処理が自動的に行われるといった特徴が、それぞれの用途を実現可能にするとしている。

 同社で環境・エネルギー分野を担当するNaren Pasupalatiシニア・リサーチ・アナリストは、「エネルギー関連の仮想通貨やブロックチェーンのプラットフォームを手がける企業のほとんどは、実証規模で事業を行っており、どの程度の収益が見込めるかはまだ未知数だ。しかし、第5世代(5G)無線通信やマイクログリッドといったメガトレンドが今後5~10年で普及すると、それらが爆発的に成長する可能性がある」と述べている。

 また同アナリストは、米国市場の中でも最先端のスマートメーター・インフラ(AMI)を導入したワシントンDC、メインとネバダの両州、分散型の太陽光発電が大量に設置されたカリフォルニア州やジョージア州で、ブロックチェーン技術によるエネルギーのP2P取引が導入される確率が高いと見込む。

 一方、「ブロックチェーンによって、消費者と電力事業者の境界が曖昧になる。しかし、非電力事業者が電力を消費者に直接販売することを禁じている州が、米国ではまだ多い。電力事業者が非集中化エネルギーシステムを取り入れるにあたって、規制も緩和する必要がある」(Pasupalati)と法制度における課題も指摘している。