HVDC変換器の適用例と電力損失低減効果
(出所:三菱電機、NEDO)
[画像のクリックで拡大表示]

 三菱電機は、炭化ケイ素(SiC)パワー半導体モジュールを適用することで、洋上風力のHVDC(高圧直流)送電を効率化する新技術にめどを付けたと発表した。

 SiCパワー半導体を適用したMMC型HVDC変換器セルの技術検証を実施した。MMCとは、変換器セルを多段に直列接続した構成の変換器で、洋上風力発電などの長距離・大容量送電に使われる。この変換器の大幅な電力損失低減と小型軽量化を実現した。

 長距離・大容量送電の高効率化や設置面積の制約が大きい洋上プラットフォームの省スペース化に貢献するという。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)プロジェクトの一環で、2月14日に発表した。

 3.3kV SiCパワー半導体モジュールをMMC型HVDC変換器セルに適用し、さらにモジュールを並列化することで変換器セル内部の抵抗を抑えた。電磁界解析を用いて変換器セル内部の電流分布を可視化し、並列化したSiCパワー半導体モジュールに電流が均等に流れるように部品を配置することで、電力損失を従来比50%に抑えた。

 SiCパワー半導体モジュールを適用することで、スイッチング周波数を上げられ、周辺部品であるコンデンサ容量を低減できたという。また、電力の低損失化によって冷却装置の小型化を実現し、変換器セルの体積を21%、重量を14%低減した。スイッチング周波数は、従来の約150Hzから約350Hzに高めた。

 洋上風力発電で得られる電力は、長距離・大容量送電に適したHVDC送電により電力使用地域に送電されるが、そこで既存の交流系統に接続するため、交流と直流の変換器が必要になる。同変換器セルを用いることで、長距離・大容量送電の大幅な効率化が期待される。また、変換器設置場所の省スペース化による設置コスト削減にも貢献する。

 NEDOが管理法人を務める内閣府プロジェクト「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)/次世代パワーエレクトロニクス」の一環。同プロジェクトでは、シリコン(Si)に代わるSiCなどの新材料パワー半導体デバイスを製品へ適用するための技術開発を推進し、電力機器の大幅な高効率化と小型化を目指している。事業期間は2014~2018年度。