新手法で合成した高分子を用いて作成した有機EL素子
(出所:筑波大学)
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 筑波大学と物質・材料研究機構(NIMS)らの共同研究グループは1月5日、有機電子光デバイス用高分子半導体を合成するための新しい合成技術を開発したと発表した。

 従来よりも簡便なプロセスで高分子半導体を製造でき、省資源・低環境負荷となるため、有機EL素子や有機薄膜太陽電池などの有機電子光デバイスの普及への貢献が期待されるという。

 有機電子光デバイスを構成する材料の1つであるπ共役高分子は、これまで主にクロスカップリング反応を利用して合成されてきた。同反応は多様な高分子が合成できる一方、スズやホウ素、ハロゲンなどを官能基に持つ原料(モノマー)を事前に合成する必要があった。さらに、これらの官能基に由来する副生成物を反応後に高分子から分離・除去する工程が不可欠だった。

 今回開発した合成方法では、2種類の芳香族化合物のC-H結合を反応点としてクロスカップリング反応を行う。モノマーには、従来の反応では必須だったスズやホウ素、ハロゲンなどの官能基を導入する必要がなくなるため、π共役高分子を合成するためのステップを少なくとも2工程削減できるという。

 また、反応条件を検討し、酸素を最終酸化剤とする合成法も確立した。同手法では、酸化剤が効率よくリサイクルされるとともに、主な副生成物が無害な水となり、試薬の使用量と廃棄物を大幅に削減できる。

 異なる機能を持つ2種類のモノマーを原料に用いることで、それぞれの機能を合わせ持つ高分子半導体を創出できる。今回、電子輸送性モノマーと正孔輸送性のモノマーを重合することで、電子・正孔両電荷輸送性型の高分子半導体の開発に成功した。これを薄膜化してデバイスを作製し、電子と正孔が再結合して発光する有機EL素子材料として機能することを確認した。

 今回の研究は、文部科学省科研費基盤研究(B)(17H03063)の支援を受けて実施された。研究成果は「ACS Macro Letters」オンライン版に2017年12月26日付で公開された。