3Dプリンターで造形した型を使って、樹脂の射出成形や金属のプレス成形の工程を短縮したりコストを低減したりする取り組みが広がっている1)。このような使い方は製造業における試作や製品製造だけでなく、ものづくり教育の現場でも有用だ。長野県南信工科短期大学校(以下、南信工科短大)は、2017年12月から3Dプリンター製樹脂型を活用して射出成形や型設計を学ぶ実践的なカリキュラムを開始する。

型の作製も成形も迅速に

 南信工科短大はカリキュラムの開始に先立ち、2017年9月に同校の学生を対象にした体験授業を開催した(図1)。講師を務めたのは、地元企業であるスワニー(本社長野県伊那市)代表取締役社長の橋爪良博氏だ。

図1 南信工科短期大学校で実施した体験授業
樹脂射出成形や金型設計の基礎についての解説を座学で受けた後、3Dプリンターで造形した樹脂型と人力射出成形機を使って、実際の成形を体験する。
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 同社は2014年以降、3Dプリンターで造形した樹脂型を使って射出成形する技術を「デジタルモールド」として展開しており、量産品と同等の材料による少量生産・試作を短期間かつ低コストで可能にしている。アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリスチレン(PS)、ポリアセタール(POM)、ポロプロピレン(PP)などを成形できる。近年は金属射出成形(MIM)や金属プレス成形などにも3Dプリンター製樹脂型の応用範囲を広げている。

 今回、同大で3Dプリンター製樹脂型をカリキュラムに組み込む経緯にも、スワニーの存在が大きかった。同社も会員である「南信工科短大振興会」から、地元企業から誕生した新しい技術を若い技術者が習得できる機会を設けたいという要望があったためだ*1

*1 南信工科短大振興会は、地元産業の振興と同大の充実を目的として2014年12月に主に長野県内の企業が会員となって設立された。2017年8月末時点では164の企業と団体の会員から構成されている。

 ただし、単にデジタルモールドの技術を教えるだけではない。体験授業ではまず、座学形式で射出成形の基礎に関して講義した。型の構造や構成要素の役割、パーティングラインの存在、樹脂の収縮率、ひけやそりといった成形不良の発生原因とその対策など、実践的な内容である。

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