本記事は日経ビジネス2017年9月18日号の時事深層「タカタ破綻から3カ月、部品不足で消えない『事故リスク』」(p.17)を転載・加筆したものです。

 欠陥エアバッグ問題で経営が悪化したタカタが民事再生法の適用を申請してまもなく3カ月。製造業で戦後最大の経営破綻にもかかわらず、国内取引先の連鎖倒産は発生していない。もっとも、影響を最小限に抑えたと見るのは早い。「事故リスク」を消せない問題が根深く残っている。

異例の改修率の低さ

 国土交通省によると、2017年7月時点でタカタ製エアバッグに関するリコール(回収・無償修理)の対象となったクルマは、国内市場だけで約1880万台以上に上る*1。2009年以降に延べ134件のリコールが実施されており、このうち、部品交換が済んでいるのは2017年7月末時点で78.1%(図)。「通常、改修率はリコールを出してから3年程度で100%近くになる」(国交省)というから、改修率が8割に満たない状況は異例といえる。

*1 国土交通省によると2008年以降、米国では累計4200万台以上、全世界では累計8100万台以上がリコール対象になっているという。

図 2017年7月末での国内のリコール改修状況と改修促進策の対象
2017年6月までに届け出されたリコール対象車の改修率は、2017年7月末時点で8割に満たない(原因が特定されたリコールと予防的リコールの合計)。国土交通省は未改修車のうち、危険性が高い約170万台について、未改修のままでは車検の有効期間を更新しないというリコール改修促進策を実施する方針だ。
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 中でも懸念されるのが、400万台を超える現時点での「未改修車」のうち、異常破裂するリスクが高いとされる特定のインフレーターを使用したエアバッグの搭載車だ。国交省は2017年8月30日、こうした危険性の高い未改修車について車検を通さない方針を打ち出した。具体的には、原因が特定されたリコール*2の対象車と、予防的リコール*3の対象車のうち、国内で異常破裂したインフレーターと同じタイプを使用したエアバッグを搭載する車両を対象としている*4

*2 タカタにおけるインフレ—ターの製造管理が不適切であったために発生した不具合のリコール。

*3 原因が特定されていない段階で、わずかでも事故の可能性があるものについてのリコール。主に2015年5月以降にリコールが届け出されたもの。

*4 具体的には、運転席側に関しては2010年以前の仕様のSDIと呼ぶタイプのインフレ—ターを使用したエアバッグ、助手席側に関しては2010年以前の仕様のSPIと呼ぶタイプのインフレ—ターを使用したエアバッグ。

 もちろん、これまでもリコールの改修率を高めるための取り組みは行ってきた。例えば2015年3月以降、タカタ製エアバッグのリコール未改修車に対して車検証交付時に警告文を交付。さらに同年4月以降は、国交省としてリコール未改修車のユーザーの一部にダイレクトメールを送付したり、職員が所有者宅へ訪問したりしている。同年11月からは、ダイレクトメール未達のユーザー対策として車検証交付時に住所変更を促す取り組みも実施している。

 しかし、前述のように回収率はなかなか上がらない。その背景には、対象車種や台数があまりに多いため、部品の供給や手配が追い付いていないという面もあるようだ。

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