エレベーターの安全装置において、その性能を担保する国土交通大臣認定に適合しない製品が出荷されていた。2017年12月19日に日立製作所が、同年12月26日に東芝エレベータが、戸開走行保護装置(UCMP、Unintended Car Movement Protection)に大臣認定への不適合があったと公表したのだ*1

*1 大臣認定違反が見つかったのは、日立製作所と日立ビルシステム(本社東京)が設計・製造した戸開走行保護装置(エレベーター1万1699台分)と、東芝エレベータ(本社川崎市)とテクノエレベーター(本社静岡県浜松市)が設計・製造した戸開走行保護装置(エレベーター6203台分)。

 UCMPとは、エレベーターの扉(戸)が開いた状態でかごが一定距離以上移動しないようにする装置。かごと乗り場の天井や床の間に人が挟まれたり、昇降路に人が落下したりする事故などを防止するための仕組みだ。

 本来、エレベーターは扉が開いた状態で動くこと(戸開走行)がないように設計されている。しかし、2006年に東京都内の賃貸住宅で、エレベーターから降りようとした高校生が、扉が開いたまま上昇したかごと建物の天井との間に挟まれて圧死する事故が発生。この事故を受け、2009年9月28日に施行された改正建築基準法によって新設エレベーターに義務付けられたのが、ブレーキの不具合などによる戸開走行を防ぐUCMPだ。この際、UCMPは大臣認定の取得も定められた。

 ではなぜ、エレベーターの安全を守る最後の砦とも言えるUCMPで大臣認定違反が生じたのか。そこには、大臣認定を申請する際の仕様と、実際に製品を製造・出荷する際の仕様の不一致という事実が存在した(図1)。

図1 大臣認定に不適合が生じた状況
新技術や新工法などの大臣認定を取得したい企業は、指定性能評価機関から性能評価を受けた後、国土交通大臣に大臣認定の取得を申請する。日立製作所や東芝エレベータは、大臣認定の申請時に提出した仕様と異なる設計のエレベーターを製造・出荷していた。
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