次世代パワー半導体であるSiCを搭載した鉄道車両が増えている。これまでは地下鉄や在来線での採用が中心だったが、いよいよ新幹線にも搭載される。2020年ごろの量産を目指した「N700S」である。その開発を主導したJR東海の上野雅之氏に、SiC採用の経緯を2回に分けて解説してもらう。なお本稿は、2016年11月開催の「パワーエレクトロニクス・サミット2016」における上野氏の講演「東海道新幹線における技術開発―SiC採用の駆動システムを搭載したN700Sの開発について」の内容を基にしている。 (本誌)

 2016年6月、東海旅客鉄道(JR東海)は新幹線車両を13年ぶりにフルモデルチェンジすると発表した。現行新幹線車両「N700」系に代わる新しい車両の名称は「N700S」。“S”は、「最高」「至高」という意味の「Supreme(スプリーム)」を表す。2017年6月には先頭部などのデザインが明らかになり、さまざまな面で進化がみられる(図1)。現在はまだ試験車両の製作段階だが、2018年3月には完成する予定だ。この試験車両で数年かけて新技術を試験し、2020年ごろに量産車としてデビューさせることを目指している。

図1 新幹線にSiCが載る
新幹線の新型車両「N700S」には、SiCパワーデバイスを利用する。2018年3月に試験車両が完成予定で、量産車が登場するのは2020年ごろである。なお、画像は先頭デザインである。
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 このN700Sで、いよいよSiCパワーデバイスを車両に搭載する。これまでも、パワーデバイスの発展と共に車両技術は進化してきた。本稿では、車両技術全体の進化の中でパワーデバイスがどのような役目をしてきたかについて、車両の技術開発や開発設計に携わってきた立場から2回にわたり解説する。加えて、SiCパワーデバイスを使った車両技術をどのようにN700Sに結実させたかについて説明する。

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