ドローン向けモーターの市場に日本企業が相次ぎ参入している。従来はドローン向けモーター最大手の中国T-motor社が一強だったが、市場の拡大を見込んで日本電産やシナノケンシといったモーターの大手企業がドローン向け製品を開発し始めた。日本電産は2.4kWの高出力モーターを開発。2016年11月には防塵・防水対応のものも発表した。シナノケンシは2018年の量産を予定している。

 これらの大手とは違うアプローチでドローン市場を狙うのが、小ロット品のモーターを中心に手掛けるツカサ電工だ。現状のドローン向けモーターの大半が採用する「アウターロータ型」とは異なる「インナーロータ型」で防塵・防水に対応。完全密閉を実現し、海水にも耐えられるようにした。「国内の産業用ドローンメーカーや中国企業などから引き合いがある」(同社専務取締役 勝野敏氏)という。

 産業用ドローンの用途は広がってきている。既存の物流網でカバーしきれない離島などへの物資の運搬のために海上を飛行したり、火山灰の巻き上がる活火山の火口付近を調査したりするなど、海水や粉塵にさらされ得る過酷な環境で使われ始めている。例えばNTTドコモとエンルート、MIKAWAYA21は、福岡県の離島の能古島に海上を経て日用品を届ける実証実験を共同で行っている。

 こうした過酷な環境では、ドローンのモーターの寿命も短くなりがちだ。火山灰などに含まれる鉄粉をモーターが吸い込み、内部の磁石に付着すると、回転が鈍くなり使えなくなる。通常の地域でドローンを着陸させる際でも、ドローンの風圧による「地面効果」注1)で地面の砂を巻き上げ、モーター内に吸い込んでしまうことがある。最悪の場合は地面効果とモーターの不調などで墜落するケースもあるため、安全性を確保する上でもモーターの役割は大きい。

注1)ドローンが地面近くを飛行している際、プロペラによる下向きの風(ダウンウォッシュ)によりドローンと地面との間の空気が圧縮され、揚力が増す現象。

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