「今年はIoTの年になる。デジタルトランスフォーメーションの最初の兆候としてIoTが見えてくる」。KDDI(au)代表取締役社長の田中孝司氏は2018年3月期3Q決算会見の席上、記者からの「2018年に注力する事業は?」という質問への回答の中でこう強調しました。同社は昨年、ベンチャー企業のソラコムを約200億円で買収し、今年に入ってからは国内初というセルラーLPWA通信サービスの提供を開始するなど、攻めの姿勢が目立ちます。そのIoTについて田中社長はまず「IoTのデータ量は非常に少なく、通信料収入は見込めない」と通信事業者としての見方を語った後、「IoTは通信といろんなその他の産業をくっつけて、新しい産業を生み出すイネーブラー(Enabler)である。パートナーとともに新たな価値を生み出せれば、大きな産業・事業に育て上げることができる。将来のビジネスの柱の一つとして期待している」(田中社長)と、IoTプラットフォーマーとしての展望を示しました。通信業界からのIoTに賭ける熱い思いを代表するようなメッセージでした。

 加えて今回は、決算会見の終了後にサプライズがありました。同社では2010年12月以来となる社長交代の人事が発表されたからです。4月1日付で新社長に就任するのは、代表取締役執行役員副社長の高橋誠氏です。

 高橋次期社長は「IoTや5G、AI、ビッグデータといった用語が飛び交う中、顧客主体で何が実現できるかを考えると、ものすごくワクワクする。大きな変革期を迎えており、通信と(金融や保険、物販などの)ライフデザインが融合する時代が訪れる。その先導役として、トランスフォームを進めていきたい」と抱負を語りました。こうしたトランスフォーメーションは、通信業界のみならず、さまざまな業界で生まれ、大きな潮流になっていきそうです。

 この2月13日、私たちもトランスフォーメーションを実行しました。これまでご愛顧いただいたWebサイトの日経テクノロジーオンラインは新しい総合技術メディア「日経 xTECH(クロステック)」に生まれ変わりました。さまざまな技術の融合が一層進み、人、生活、産業、地球環境に至るすべてのものが大きく一変する時代に合わせたトランスフォーメーションです。IoTはそのキーとなります。

 そして次号の日経エレクトロニクスは5Gの特集を予定しています。モバイル関連で世界最大級のイベント「MWC 2018」から最新情報をお届けします。どうぞご期待ください。

出典:2018年3月号 p.9 日経エレクトロニクス
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