Ian Ferguson氏 日経テクノロジーオンラインが撮影。
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「Pepper World 2017」(ソフトバンクらが2017年2月8・9日に東京で開催)の基調講演などのために来日した英ARM社のIan Ferguson氏(VP Worldwide Marketing and Strategic Alliances)に話を聞いた。ソフトバンググループ(以下、ソフトバンク)傘下になった功罪や、IoTを狙うことでの戦略の変化、話題の「RISC-V」についても語った。

──ソフトバンク傘下になって良かったことと、困ったことを聞きたい。

 良かったことは株主が1社になったことだ。ソフトバンクに買収される前、株主は4万人を超えており、さまざまな要求を聞かなければいけない上、四半期ごとに決算レポートを出す必要があった。

 買収後、株主は1社になった。その株主は短期的な利益よりも長期的なビジョンを重視しており、四半期ごとの決算レポートは重要でなくなった。ソフトバンク傘下になって長期的な視点で動けるようになり、ここ半年、思い切った買収を行ってきた。

 加えて、ソフトバンクが、ARMの技術を世界に広めることに積極的なのは有難い。孫正義氏は「IoT時代には1兆個の機器がネットにつながる。その機器にはARMコアを集積したICが載る」と述べている。そして、機器やシステム、サービスを扱う企業の傘下になり、これまでよりもずっと深く、顧客に必要なものを考えられるようになった。

 一方、課題もあった。主なモノは2つ。第1の課題は、ARMの顧客の中にNTTドコモなど、ソフトバンクの競合企業があることから生じた。競合企業は機密情報がソフトバンクに漏れるのではないかという懸念を持った。機密保持契約を結ぶ相手はソフトバンクでなく、今まで通りARMであることを説明した。ARMと顧客との関係はソフトバンク傘下になっても変わらない。それを顧客に説明する必要があった。

 第2の課題は、有能な人材の流出を防ぐことだ。ソフトバンクは43%のプレミアを付けてARMの株式を買い取った。自社株を持っているARMの社員の中には資金を得て、独立したいと考える人もいるだろう。実際、CFOは「上場企業で働きたい」と言ってARMを去った。

 ただし、このような移籍があったのは経営層がほとんどで、顧客にとって重要なエンジニアはあまりいない。エンジニアは、長期的な視点で開発に取り組めるようになったことや、ソフトバンクがARMの技術を広めることに積極的なことで、買収前よりもむしろやる気を出している。

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