ものづくりの全面的な改革を加速するトヨタ自動車社長の豊田章男氏。めったにメディアの個別インタビューに対応しない同氏が、本誌の独占取材に応じた。注目を集める「カンパニー制の導入」「TNGA(Toyota New Global Architecture)戦略」「電気自動車(EV)開発の加速」に加えて、「工場のあるべき姿」「品質向上」などに関して、トップが自らの考えを熱く語った。

写真:栗原克己

 トヨタ自動車の最近の動きの中でとりわけ変化が大きかったのが、2016年4月のカンパニー制の導入だ。

 コンパクトサイズのクルマを担当するカンパニー、中型サイズのクルマを担当するカンパニー、レクサスを担当するカンパニー、さらに先進技術開発カンパニー、パワートレーンカンパニーなど7つのカンパニーを発足させた。中短期の商品企画は各カンパニーが担う。それまでは機能軸の組織だった開発や生産の技術部門も、先行と量産に分けて、各カンパニーに振り分けた。“トヨタ分割”ともいえるカンパニー制の狙いを豊田氏はこう説明する。

 私はいろいろなことに取り組んでおり、カンパニー制はその1つです。しかし、カンパニー制はトヨタ自動車にとってソリューション(解決策)ではありません。それは何かというと、オポチュニティー(機会)だと思っています。トヨタ自動車はもっといいクルマを造りたい。そのために各カンパニーのメンバーがより賢くクルマを造っていく必要がある。カンパニー制はそのためのオポチュニティーなのです。

 言うまでもなくトヨタ自動車は日本最大の企業で、2016年3月期の連結売上高が約28兆4000億円で、営業利益は約2兆8000億円に達する。事業がせっかくうまく回っているのに、成果を生むかどうか分からない組織再編を決断した背景には、豊田氏の強い危機感がある。

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