中距離用では100ドル程度にまでコストが下がったと言われるミリ波レーダー。その主要な構成部品である送受信回路ICは、2022年までにコストが半減する見通しだ。そのための手段は使用する半導体の種類を現在のSiGe(シリコン・ゲルマニウム)から汎用的なSi(シリコン)に置き換えることだ。一方で、Siへの転換をより早く推進し、コスト削減のスピードを上げようとするメーカーもある。

 かつては50万円と高価だったミリ波レーダーも、現在では77GHz帯の長距離用レーダーで150ドル(1ドル113円換算で1万6950円)程度、中距離レーダーで100ドル(同1万1300円)程度、準ミリ波と呼ばれる24GHz帯の短中距離用のものでは50ドル(同5650円)程度までコストが下がっていると見られる(図1)。

図1 Bosch社の77GHz帯のミリ波レーダー
(a)長距離(検知距離200〜250m程度)用、(b)中距離(検知距離100~150m)用。
[画像のクリックで拡大表示]

 ただし今後、自動運転を実現するためには、車線変更の際に隣の車線で後方から近づいてくる車両を確実に検知することや、高速道路の入り口などで合流してくる車両を検知するなど、前方だけでなく車両の周囲360度を監視する必要が出てくる。このため搭載個数は増える傾向にあり、低コスト化は依然として重要な課題だ。

 77GHz帯という高い周波数のため、以前は送受信回路に高コストな化合物半導体のGaAs(ガリウム・ヒ素)が使われていた。しかしGaAsはIC化が難しいため、現在では同じ化合物半導体でもIC化が可能で、より低コストにできるSiGeを使った送受信用ICを使うようになってきている。送受信用ICで世界シェア1位のドイツInfineon Technologies社によれば、現在はSiGeを使ってミリ波レーダーの送受信回路を1チップ化したICが使われており、大幅な低コスト化に貢献している。

 現在の同社のミリ波レーダー用送受信ICは「eWLB(組み込み型ウエハーレベル・ボール・グリッド・アレイ)」と呼ばれる最新のパッケージ技術を採用したSiGe送受信ICの第2世代品(図2)。同パッケージは、入出力数の増加に対応しながらも、パッケージのコンパクト化と低コスト化を実現しているのが特徴だ。

図2 ミリ波レーダー用送受信ICの世代交代シナリオ
現在のSiGe送受信ICを「eWLB」と呼ぶパッケージに収めた第2世代製品から、2018年頃には電源やマイクロコントローラーまで集積化した第3世代とし、さらに2022年にはSiを使ったCMOS回路にシングルチップ化した第4世代にする見通し。世代が変わるごとに、コストを30%下げるという。(Infineon Technologies社の資料を基に本誌が作成)
[画像のクリックで拡大表示]

この先は有料会員の登録が必要です。「日経Automotive」定期購読者もログインしてお読みいただけます。

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら