ポストLiイオン2次電池(LIB)を目指す各種技術のブレークスルーが相次いでいるが、もう1つ、今はまだ「圏外」の技術がそれらを押しのけて、蓄電デバイスとしての主役に躍り出る可能性がある。スーパーキャパシターだ。

 スーパーキャパシターは電気化学キャパシターとも呼ばれ、(1)電気2重層キャパシター(EDLC)、(2)擬キャパシター、の2種類に大別できる。(1)のEDLCは電極と電解液の界面が薄い絶縁層を介してキャパシターのように機能するデバイス。電極に酸化還元反応を伴わない炭素材料を用いている。これまでは、キャパシターと同様に、充放電サイクル寿命が非常に長く、出力密度が大きい半面、実用化されている製品のエネルギー密度は10Wh/kg止まりで、LIBの最大1/20と低かった。

 一方、(2)の擬キャパシターは、EDLCの原理に加えて、少なくとも片方の電極に金属酸化物を用いて、酸化還元反応で、EDLCの約2倍のエネルギー密度を実現する。電極材料は例えば、酸化ルテニウム(RuO2)や二酸化マンガン(MnO2)など、電解液は硫酸ナトリウム(NaSO4)などであることが多い。RuO2は比静電容量に優れるが、充放電サイクル寿命が短いという課題がある。

 エネルギー密度の向上には(1)と(2)で共に、電極の表面積を増やすこと、および電極と電解液界面の絶縁性の被覆を薄くすること、さらには電解液材料の革新などが必要になっている。

航続距離が600km以上に

 2016年12月になって、英Augmented Optics社とその子会社である英SuperCapacitor Materials社、および英国の大学University of Surrey、同University of Bristol(UoB)が、重量エネルギー密度が従来の約100倍のスーパーキャパシターを実現可能な電解質材料を共同で開発したと発表した(図C-1)。「開発した材料に基づくスーパーキャパシターを搭載した電気自動車(EV)なら、ロンドンから(北に約600km先にある)エディンバラにも行ける」(University of Surrey)。つまり、既存のEVのLIBの3~4倍の重量エネルギー密度500~600Wh/kgか、それ以上を実現できる計算で、ポストLIBの有力候補になる。

図C-1 次世代スーパーキャパシターと全固体電池が対決か
SuperCapacitor Materials社と英国の大学の研究者らが開発したと主張する次世代スーパーキャパシターのエネルギー密度や出力密度を、他の競合技術と比較した。重量エネルギー密度は今後の全固体電池とほぼ重なる。
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