かつてない製品を世に送り出す基盤として、賛同する個人から資金を集めるクラウドファンディングが存在感を増している。その元祖の1社といえる米Kickstarter社が、日本市場向けのサービスを2017年9月に開始した。創業者の1人で現在のCEO、Yancey Strickler氏が、Kickstarterの背後にある哲学や大企業とのすみ分け、開発者に望む態度を語る。

Yancey Strickler氏
(ヤンシー・ストリックラー)
音楽関連のジャーナリストとして「Pitchfork」「Spin」などに寄稿したほか、音楽レーベル「eMusic Selects」の設立に従事。2009年4月に共同創業者としてKickstarter社を立ち上げる。(写真:加藤 康)

 僕らは2009年にKickstarterを始めたときから日本進出が夢でした。個人的に日本の文化やアート、ゲームやコミックが好きで、日本の革新的なアイデアは、Kickstarterにピッタリだと思っていました。これだけ時間がかかったのは、ちゃんとした準備を整えるのが重要だったからです。日本に対する期待は、長い目で見るとものすごく高いです。

 Kickstarterの中でも最大級のカテゴリーに「テクノロジー」があります。すごく革新的な製品が作られ、たくさんのお金を生んでいます。ここで我々が一番大事だと考えるのは、製品を作り上げる過程を「透明」にすることです。この点は、既存の企業から独立したハードウエア開発者にとって特に重要です。うまくいけば、いずれはApple、Samsung、Googleと戦うわけですから。新型iPhoneがどうやって作られているのか全く分からないですよね?そこで、「僕らはどうやって作っているのか、ありのままに見せます。あなたが自分でどうやればいいのかも教えます」と表明する。大企業と何が違うのかをはっきりさせるやり方です。これがKickstarterのカルチャーです。

 僕らがクラウドファンディングを発明したのは、クリエイティブなアイデアがもっと生まれるようにしたかったからです。全てがKickstarterから出てくる必要はありません。でも、元祖を選べば間違いないですよね(笑)。特に、海外とつながりたい日本のクリエイターにとって、Kickstarterはエキサイティングな場所になるでしょう。

 Kickstarterには、クリエイターのパートナー候補を紹介するページが幾つかあります。特にハードウエアのクリエイター向けには「Hardware Studio」と呼ぶページを立ち上げました。世界中の工場にアクセスできる経験豊富な製造業者と協力して、アドバイスなどを提供します。「resources」ページには実際にパートナーになり得る製造業者などのリストがあります。ここに載せる企業は、実際に利用したクリエイターの声などから見つけています。日本の製造業者も、まずプロジェクトの1つに参加してみるのがいいかと。丁寧な仕事をすれば、相手がみんなに伝えてくれて、良い評判が広がるはずです。

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