「日経エレクトロニクス」2017年7月号のChallenger「視点を変えたヘルスケアで成功、本質を抽出できる機械学習も」を先行公開した記事です。

 話題のディープラーニング(深層学習)とは異なる機械学習技術で特徴を出したヘルスケアサービスを手掛ける京都発のベンチャーがハカルスである。一度大きな挫折を経験したものの、方針を変えて、事業を軌道に乗せつつある。同社 代表取締役の藤原健真氏に、方針転換の理由や今後の事業計画を聞いた。

ハカルス 代表取締役 藤原 健真(ふじわら・けんしん)氏
ソニー・コンピュータエンタテインメント(SIE社)でゲーム機の開発に従事後、イスラエルのベンチャーに転職。その後、数社のベンチャーを共同創業し、2014年から現職。

 我々は、スマートフォン用アプリケーションソフトウエア(アプリ)「Hacarus」を通じて、食事指導や健康管理を行うサービスを手掛けています。自分が毎日食べた食事内容を、「カレー」や「かつ丼」といったあらかじめ用意された選択肢の中から選んで記録すると、インターネット上のサーバーでその記録データを解析し、例えば「●●を食べた方がいい」といった食事指導を行います。

 こうしたサービスは数多くありますが、我々はいわゆる「B to C」のヘルスケアサービスではなく、「B to B to C」の事業モデルを採ります。顧客はフィットネスクラブや企業といった法人です。その顧客が、自社のユーザーに食事指導や健康管理のサービスを提供できるようにする専用アプリを、Hacarusを基にして作り、裏方でサービスを運営して毎月収入を得るのが、現在の主軸事業です。こうしたカスタム対応ができることが、競合他社に比べた優位点だと考えています。

 ハカルスはもともと、「IoT機器ベンチャー」として2014年に立ち上げました。当初は、「B to C」のヘルスケア事業で、無料のスマホアプリを配り、同アプリとBluetoothで接続して連動する計量機器「スマートキッチンスケール」を販売し、その収入で利益を得ようとしました。

 ですが、ハードウエアの実用化は想像以上に大変でした。特に、量産にかかる数億円の費用が大きな課題でした。そこで、ハードウエアは断念し、現在のビジネスモデルに方針を転換しました。その判断が功を奏して、法人顧客は順調に増えています。

 こうした事業方針の転換は、私にとって初めてではありません。実際、ハカルスの前に起業した幾つかのベンチャーでは、創業当初の事業から方向転換し、業績を伸ばしてきました。例えば、2011年に起業したベンチャーでは、当初、複数のシェアオフィスの空き状況を検索・予約できるサービスを手掛けていました。ターゲットは、ちょっとした空き時間に、静かな環境で仕事をしたいと思っている人たちです。ところが、まったく利用者が増えなかった。私自身が欲しいと思って立ち上げたサービスですが、社会全体からすると、あまりに「ニッチ」な需要だったわけです(笑)。

 そこで、シェアオフィスの運営企業に、ユーザーの予約や入金などをパソコンで手軽に管理できるシステムを販売・運営する事業に切り替えました。シェアオフィスと付き合っていく中で、予約状況や入金履歴をキーボードでパソコンに入力するなど、「手作業」をしているシェアオフィスが多いと分かったからです。この面倒な作業を簡単にすればビジネスになる。そう考えて、シェアオフィス用の管理システムの事業に変えました。その結果、海外のシェアオフィスを中心に顧客が増え、最後はある海外企業に買収され、「Exit」しました。

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