限られた労働時間で効率的に業務をこなすべく、ドイツの企業あるいは産業界は協業や標準化などあらゆる手を尽くす。それは、自動運転のような最先端の分野も例外ではない。

自動運転の試験方法を共通に

図1 Pegasus Research ProjectのWebサイト
[画像のクリックで拡大表示]

 現在、ドイツでは経済エネルギー省(BMWi)主導の下、産官学の主要プレーヤーが自動運転について議論する「Pegasus Research Project」(以下、ペガサスプロジェクト)が進められている(図1)。その目的は、自動運転機能の試験方法の標準化である。自動運転車や自動運転機能の開発は、3Dモデルを用いたシミュレーション、試作車による実証試験、実環境での走行などさまざまな段階があるが、それらの段階における試験方法を標準として共通化し、開発の大幅な効率化を見込む。

 ペガサスプロジェクトのメンバーには、BMW社やDaimler社、Volkswagen社といったドイツを代表する自動車メーカーが軒並み名を連ねている(表)。市場では競合関係にあるこれらの自動車メーカーが、自動運転機能の試験方法というコア技術の共通化プロジェクトで手を結ぶのは、各社が自動車メーカーとしての差異化ポイントに専念し、開発リソースを集中したいとの考えがあるからだ。

表 Pegasus Research Projectのメンバー
ドイツを代表する自動車メーカーやサプライヤーが名を連ねる。これらのメンバーが4つのサブプロジェクトチームに分かれて、自動運転機能の試験方法の標準化を進めている。
[画像のクリックで拡大表示]

 もし自動車メーカーがそれぞれ独自に自動運転機能の試験方法を確立しようとすれば、各社はそのための開発にリソースを割かなければならない上、これらの自動車メーカーに部品やシステムを納めるサプライヤーも自動車メーカー各社で異なる試験方法に合わせる必要がある。自動車メーカー各社が系列のサプライヤーを抱える日本と異なり、ドイツでは巨大な1次サプライヤー(ティア1)が自動車メーカー各社に部品やシステムを供給する産業構造となっている。従って、自動車メーカー各社が独自の試験方法を運用するよりも、業界標準を確立した方が、開発効率の面では圧倒的に優れているのだ。実際、ペガサスプロジェクトにはContinental社やRobert Bosch社などのティア1も参加している。

ここからは有料会員の登録が必要です。