特許情報から自動車関連企業による2次電池の開発動向を探った。ハイテク分野の特許調査に強みのあるスマートワークスが、分析し寄稿した。見えてきたのは、全固体電池の特許出願でトヨタ自動車が圧倒的に先行していることだ。トヨタの2次電池・電気自動車に対する開発・事業の考え方も同社への取材から本誌がまとめた(別掲「トヨタが全固体の開発を先導、EVの“基盤デバイス”目指す」)。

 1997~2017年に公開された「エコカー電池」関連特許の国内出願状況を調べた注1)。トヨタ自動車が2434件(豊田中央研究所と豊田自動織機を含む、単独で2094件)と圧倒的に多い(図1(a))。

注1) エコカー電池とは、電気自動車、燃料電池自動車、ハイブリッド車を主な用途とした電池。特許は、原則的に出願から1年6カ月後に公開するため、本稿で年別の動向を議論する際には2015年出願分までを基にした。本稿での「全固体電池」の定義は「主に無機物からなる固体電解質を使用する電池」。筆者は、大手電子デバイスメーカーの知財本部に15年間在籍、2005年にスマートワークスを設立。今回、特許の公開情報から分析した。

 トヨタの出願状況を詳細に見ると、2006年からエコカー向け電池に占める全固体電池の比率が徐々に高まり、特に2010年以降では大半あるいは半数近くに達している(図1(b))。同社はエコカー電池の出願を2012年から絞り込んでおり、開発リソースを全固体電池に集中させたとも考えられる。

図1 エコカー向け電池の出願件数ではトヨタがダントツ
(a)上位は自動車メーカー。(b)トヨタは2010年前後から出願件数を絞っている。(図:スマートワークス、以下同じ)
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 さらに2015年の出願分で確認された同社の発明者数は、エコカー向けで115人、全固体電池向けで111人。両テーマで重複した発明者は1人のみだった。こうした発明者数から、全固体電池に100人を超える開発人員が投入されており、開発組織や開発テーマを明確に区分していることが推察できる。

 全固体電池に注力する同社の開発姿勢は、国内の出願に限らない。欧米・アジアの出願動向においても出願数でトップだ(表1)。同社が、全世界における特許の権利形成を目指していると推測できる。

表1 国内外における全固体電池関連特許の2007~2017年における出願企業と件数
海外分は「WIPO Patentscope」に基づく。
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