アルミニウム(Al)合金を使ってできる限り軽くし、薄くても強い高張力鋼板(ハイテン材)を採用して軽量化しつつ強度を稼いで、かつコストも抑える─。これは自動車のボディーでの軽量化設計の王道とも言える考え方だ。既にドイツの自動車メーカーがマルチマテリアル設計を施したボディーにおいて積極的に採用している。

 だが、まだ乗り越えられていない課題がある。引っ張り強さが590MPaを超える高張力鋼板、特に980MPa以上の超高張力鋼板(スーパーハイテン材)を使えないことだ。接合技術が確立していないからである。スーパーハイテン材が使えれば、軽量化と強度をより高い次元で両立できる。

 これを解決する技術を神戸製鋼所が開発した。Al合金とスーパーハイテン材を含む高張力鋼板を強固にくっつける異種材料接合技術である「エレメントアークスポット溶接法」だ(図1)。例えば、長さ150×幅50×厚さ2mmの6000系Al合金板と、長さ150×幅50×厚さ1.4mmで引っ張り強さが980MPaのスーパーハイテン材を接合した場合、両金属板を引きはがす剥離強度は10kNを超える。溶接部ではなく母材が破壊してしまうほどの高い接合力を実現する。

図1 Al合金板と高張力鋼板の直接接合サンプル
異種材料接合技術であるエレメントアークスポット溶接法を使って作製した。
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