エレクトロニクス産業のグローバル化が進み、メーカーで働く技術者に求められるスキルはどのように変わっていくのか。外資系半導体メーカーで長く技術マネジメントに携わった著者が、これまでの経験を基に、技術者が今後力強く生き抜いていくために押えるべき勘所を、日々の仕事への取り組み方なども交えながら解説する。 (本誌)

 技術者である私たちの置かれている環境が目まぐるしく変化しています1)。変化のスピードはどんどん速くなり、10年後には消え去っている職業も数多くあるのではないかと言われています。自動車業界ではAI(人工知能)による自動運転技術を確立し、交通システムの大改革を遂げようという機運があります。2017年1月にラスベガスで開催されたCES(Consumer Electronics Show)ではGPU(Graphics Processing Unit)メーカーである米NVIDIA社が高速道路を含めた公道を自動運転車が走行するデモ映像を披露したことで話題になりました。

 まだまだ超えるべきハードルはあるものの、IT技術の進歩は自動運転技術の実現を私たちの視界の目前に捉えさせてくれるまでになりました。自動運転技術が確立され、増え続ける膨大な物流を支えるトラックなどの自動運転が実現すれば、深刻な人手不足を解消する手段になると同時に、そうした仕事を生業とされている方々には脅威ではないかと思います(図1)。

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図1 ダイムラーが発表したメルセデス・ベンツの完全自動運転車のコンセプト
写真は日経テクノロジーオンラインが撮影。

 振り返ってみれば、私たちが子どもの頃にあった職業でも現在では既に大都市を中心に姿を消しているもの(駅の改札員、電話交換手、バスの車掌など)もありますし、ビッグデータを取り扱うデータサイエンティストなど時代の要請で新しく必要とされる職業もどんどん生まれてきています。こうした点を勘案すると、職種そのものの変遷は大きな流れの中の一過程と捉えられます。それでも、ある職業がある日を境に突然消滅・生成するということはありません。IT化や機械化、あるいは合理化によって、少しずつ業態が変わっていくでしょう。その一方で、人間にしかできない仕事も必ず残るはずです。

 技術者の仕事も同様にどんどん変化していきますが、どのような技術領域においてもコアな部分は必ず存在します。そうしたコアな部分の技術を継承し、それを発展させていく若い技術者を育成する必要があります。

 今回の連載では、技術の継承や教育とコミュニケーションについて、加えて、若者が技術者としてのキャリアを磨いていくこととの関わりについて考察します。

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