「ボトルネック工程を改善するべく対策を講じるとき、以前は問題が起こった後で時間が経ってから、状況把握のために作業者にヒアリングしていた。作業者の記憶を基に、この辺が悪かったのでは、と推定しながら対策を考えていた」〔日立製作所制御プラットフォーム統括本部(大みか事業所)情報制御第三本部本部長の大橋章宏氏〕。

 作業者の記憶が正しければ適切な対策を講じることも可能だが、うろ覚えの記憶を基にしても正しい方向に修正できるとは限らない。この点を改め、事実に基づいた素早い改善を可能にするため、日立製作所大みか事業所はIoTを応用したシステムを構築。現場の「作業者(man)」「設備(machine)」「材料(material)」、すなわち「3M」をありのままに把握し、進捗管理や作業改善に役立てている。

多品種少量で生産リードタイム半減

 同事業所は情報制御機器・システムの開発と生産を担っている。製品の仕様が顧客ごとに変わる多品種少量生産の形態である。一方で納期と価格については「大量生産品並みのことが要求されている」(大橋氏)。この状況に対応するため、同事業所はIoTを応用した高効率な生産に向けて改革を進めており、代表的な製品について生産リードタイムを50%短縮する効果を得た。

 基本的な考え方は、生産現場が持っているリソース、すなわち作業者・設備・材料の3Mを最大限に活用することによる生産性の向上だ。そのためには、刻々と変わる3Mの状況を常に把握していなければならない。そこで同事業所は、3MそれぞれにRFID(Radio Frequency Identification)タグを装着する(持たせる)ことで、誰がどのワークに対してどの設備でいつ作業したかが分かるようにした。RFIDタグは合計で約8万個使っており、リーダー(読み取り装置)も400台以上を導入した(図1)。

図1 日立製作所大みか事業所
情報制御機器・システムの多品種少量生産を手掛ける。IoTを利用した取り組みで生産リードタイムを半減させた。配置図は参考文献1)を基に本誌作成。 写真:日立製作所
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 集約した情報を直接使うのは、2つのシステムである。1つは、ボトルネック作業を自動的に抽出し、その時の状況を明示することで対策を立てやすくする「作業改善支援システム」。もう1つは、生産進捗を時々刻々リアルタイムで把握し、納期遅れを生じさせないための対策を素早く決められるようにする「進捗・稼働監視システム」だ*1

*1 日立製作所は、大みか事業所で開発した2つのシステムを汎用化し、IoTプラットフォーム「Lumada」の「ソリューションコア(ソリューションのひな型)」として外販することを2017年5月31日に発表した。

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