産業分野、いわゆる「B to B」の応用でも、現実空間にプロジェクターで映像を投射してARを実現する取り組みが進んでいる。エンターテインメントや民生用途とは一線を画す、製造現場や手術室などにも裾野を広げる。

 プロジェクターを利用したARの産業分野での応用は、実に多彩である。道案内や組み立て作業の効率化に加えて、手術支援にも用途を広げようとしている。以降では、産業用途における事例について紹介する。

アニメを投映して人を誘導

 矢印や文字、図形などのアニメーションを、プロジェクターで通路の床や扉に投映して人を円滑に誘導する。こうしたシステムを三菱電機が開発した。図形や文字などの単純な表示に比べて、視認性が高まるという。東京五輪で多くの外国人旅行者が訪れる見込みの2020年までに、実用化したい考えである。

 2017年5月に見せた報道機関向けのデモでは、通路の床に目的地の方向を示す矢印を表示したり、エレベーター乗り場で床やエレベーターの扉に案内表示して利用者を誘導したりする様子を見せた(図1)。エレベーター乗り場のデモでは、ICカードなどを用いた施設のセキュリティー設備と連携し、利用者を特定して乗るべきエレベーターを指示する、といった利用法を想定している。

図1 イラストやアニメーションで人を誘導
三菱電機は、矢印や文字、図形などのアニメーションを、プロジェクターで通路の床や扉に投映して人を誘導したり、注意を促したりするシステムを開発した。例えばエレベーターの乗り場を案内したり、乗るべきエレベーターを指示したりする。乗り場に到着する直前に、扉と床に車いす利用者の降車を予告するアニメーションを投映し、周囲の人に配慮を促すこともできる。
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 エレベーター乗り場では、車いす利用者の降車も予告できる。車いす利用者が搭乗しているエレベーターが乗り場に到着する直前に、車いす利用者の降車を予告するアニメーションを扉や床に投映し、周囲の人に配慮を促す。

 今回のデモでは市販品のプロジェクターを利用したが、現在、専用のプロジェクターを開発中である。専用プロジェクターは、ビルなどの照明器具と同等のサイズまで小型化し、既存の照明器具と同様の方法で設置できるようにする考えだ。道案内などのために表示するアニメーションも、産業技術総合研究所と共同で標準化を進めている。

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