メガソーラー(大規模太陽光発電所)や風力発電所などの再生可能エネルギーに併設するタイプのストレージの導入が海外で活発化してきた。日経BP総研クリーンテック研究所がこのほど発行した調査レポート『世界再エネ・ストレージビジネス総覧』によると、その導入シーンは、(1)再エネの短周期変動対策、(2)需給バランスの改善策(長周期変動対策)やローカル系統の熱容量問題への対応、(3)未電化地域(オフグリッド)向け電力供給や非常時向けのマイクログリッド運用--の3タイプに分類される。

98MWの風力に64MWhの蓄電池

 第1の短周期変動対策型のストレージプロジェクトは、再エネの大量導入によって系統電力の電圧や周波数が短期的に不安定になるのを防ぐために実施される。この場合、秒から分単位のリアルタイムで充放電制御する。系統電力の品質維持に責任を持つ系統運用者や規制当局の要請または違約金対策のために設置されることが多い(表1)。

表1●短周期変動対策を主目的としたストレージ併設型の典型的なプロジェクト
(出所:日経BP総研 クリーンテック研究所)
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 典型が、大手独立発電事業者である米AESが米ウエストバージニア州に持つ出力98MWの風力発電所に併設される形で2011年に建設された64MWの「Laurel Mountain」蓄電ステーション」(図1)である。

図1●「Laurel Mountain」蓄電ステーション
(出所:AES Energy Storage)
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 AESの子会社で蓄電池インテグレーターの最大手AES Energy Storage社が設置、運用している。同地では、天候の急変によって発電量の変動が許容範囲を逸脱すると高額の違約金を課す制度があり、蓄電池によってそのリスクを低減している。

 AES Energy Storage社はさらに、同蓄電池プラントを使って、米国の系統運用者であるPJM(Pennsylvania-New Jersey-Maryland)やISO-NE(ISO New England)のアンシラリー市場に参加して利益を得ており、リチウムイオン蓄電池の採算性を確保している。