本記事は、応用物理学会発行の機関誌『応用物理』、第86巻、第9号に掲載された「大画面フレキシブル有機ELディスプレイの研究開発」の抜粋です。全文を閲覧するには応用物理学会の会員登録が必要です。会員登録に関して詳しくはこちらから(応用物理学会のホームページへのリンク)。全文を閲覧するにはこちらから(応用物理学会のホームページ内、当該記事へのリンク)。『応用物理』の最新号はこちら(各号の概要は会員登録なしで閲覧いただけます)。

 次世代のディスプレイとして、薄くて軽く、柔軟で丸めることもできるフレキシブル有機エレクトロルミネセンス(EL)ディスプレイが注目されている。日本放送協会(NHK)では、スーパーハイビジョン(SHV)にふさわしいディスプレイとして、丸めて家庭に搬入可能な大画面のフレキシブル有機ELディスプレイの実現を目指して研究開発を進めている。本稿では、その技術概要と研究開発動向について紹介する。

   NHKでは、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年の本格普及に向けて、ハイビジョンの16倍の画素数(7680×4320)をもつ8Kスーパーハイビジョン(Super Hi-Vision:SHV)放送システムの研究開発を進めている。かつて、ディジタルハイビジョン放送とともにテレビがブラウン管から薄型ディスプレイに進化したように、SHV放送に向けて新たなディスプレイが求められている1)。SHVには小さい画面から大きい画面までさまざまな楽しみ方があるが2)、魅力の1つである高い臨場感や没入感は大画面で視聴することでより発揮される。

 しかし、70inch程度以上の平面状のディスプレイを家庭に導入するのは容易ではない。これ以上のサイズでは、その重さから運搬が困難になるのに加え、エレベータ、玄関などの幅や高さの制限により搬入が難しくなる。一方、ディスプレイ技術の分野では、従来のようにガラス基板上に作製するディスプレイではなく、プラスチック基板上に作製するフレキシブルディスプレイが新たな進化の方向性として注目され、国内外で研究開発が活発に進められている3〜11)。このディスプレイであれば、薄くて軽く、また柔らかくて丸めることもできるので、家庭に導入しやすい大画面ディスプレイの実現も可能である(図1)。

図1 大画面フレキシブルディスプレイのイメージ。
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 NHKでは、SHVにふさわしいディスプレイとして、家庭に搬入可能な大画面のフレキシブルディスプレイの実現を目指して研究開発を進めている。本稿では、フレキシブルディスプレイの利用形態について述べた後、フレキシブル有機エレクトロルミネセンス(Electroluminescence:EL)ディスプレイの要素技術の概要をNHKの技術を例に紹介する。

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