太陽光パネルメーカーのソーラーフロンティア(東京都港区)が、自社製のCIS型の化合物半導体によるパネルに適した新たなリサイクル技術を開発し、実用化に向けた取り組みを急いでいる。

 再生可能エネルギー発電電力の固定価格買取制度(FIT)のスタートによって、それまでとは桁違いの枚数となる膨大な太陽光パネルが全国各地に設置されるようになった。そこで関心を集めているのが、使用済みの太陽光パネルを適切に回収し、材料をリサイクルするための仕組みや技術である。

 今後、製品寿命が終わったり、発電所を撤去したり、災害や事故で被災したなどの理由によって、使用済み太陽光パネルが大量に廃棄される時期が来ることが予想される。

 一方で、こうした太陽光パネルを適切に回収し、材料をリサイクルするための仕組みや技術については、現時点では、まだ十分に体制が整っていないのが実態である。

 2017年9月には、総務省による調査の結果、台風や地震などの被災時に損傷した太陽光パネルに関して、適正な情報提供、適正な処理が十分に実施されていない場合があることがわかり、同省が環境省と経済産業省に勧告した(太陽光パネルの廃棄で不適切な例、総務省が改善を勧告太陽光パネルメーカーが開示を拒む例も、廃棄の適正化へ総務省が勧告「セレンの溶出は基準以下」、ソーラーフロンティアが見解)。

 総務省では、今後、使用済み太陽光パネルが大量に廃棄・処理される時代が来ることを見越して勧告した。現状で、一定の量のパネルが処理されるのは、ほぼ被災時に限られている。そこで、被災後の処理状況に着目した。

 太陽光パネルのうち、世界中の多くのメーカーが大量生産している結晶シリコン型の太陽光パネルとは異なり、CIS型の化合物半導体によるパネルは、かつて複数社が開発・製造した実績がある。ただし、本格的な大量生産に成功したのは、ソーラーフロンティアだけで、国内外で流通・設置されているCIS型パネルは同社製がほとんどとなっている。

 廃棄やリサイクルに求められる技術についても、結晶シリコン型とは共通化できない部分がある。こうしたCIS型のパネルに特有な技術について、結晶シリコン型とは異なり、競合企業と成果を共有しながら進めていくことが難しい場面もある。ほぼ1社のみが製造・販売している製品の悩みの一つといえそうだ。

 ソーラーフロンティアでは、CISの化合物半導体型のパネルを事業化した当初から、使用済みパネルの廃棄や回収、リサイクルなどの課題を意識し、取り組んできたとしている。

栗谷川 悟・執行役員 CTO
(出所:ソーラーフロンティア)

 栗谷川 悟・執行役員 CTO(最高技術責任者)によると、「事業化の当初から、太陽光パネルの製造・販売だけでなく、使用済み製品を回収し、希少金属やガラスなどの材料を回収して、リサイクルできる仕組みを構築したいと考えてきた。今後、その仕組み、技術の両方から実現できるようになった時には、もし他の太陽光パネルメーカーの賛同を得られず、足並みが揃わなかったとしても実行し、製造から販売、使用済み製品の処分まで、責任を持つ方針を貫く」と強調している。

 仕組みの面では、コストの負担や回収の手法などに関して、課題が残っている。

 コストについては、製品の販売価格に回収・リサイクル費用を含めているメーカーは、米ファーストソーラー以外にはないと見られている。そのような状況で、販売済みのパネルの回収・リサイクルの費用を、誰がどのように負担するのかという議論は難航している。

 回収の手法については、廃棄物処理法の制約もある。産業廃棄物は、それぞれの都道府県内において回収・処分されることを想定した仕組みとなっており、都道府県ごとなどの認可となっている。都道府県をまたいで回収し、一つの処理施設で集中処理することが認められていない。特例として、産業廃棄物の「広域認定」を受ければ、こうした処理が可能になる。

 ソーラーフロンティアでは、この「広域認定」を申請し、自社工場の製造時の不良品などと一緒に処理しようと試みたことがあるという。しかし、社内以外の理由で断念せざるを得なかったとしている。

 同社では、工場から顧客に納入する際に使う梱包材については、以前から回収し、リサイクルしている。梱包材の回収の経路や手法が確立されていることから、使用済み太陽光パネルについても、同じ経路と手法を使って回収することは難しくないと見ている。

 CIS型パネルの材料をリサイクルするために必要な技術については、自社内での取り組みのほか、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトも活用してきた。

 今回、開発したのは、カバーガラスから樹脂製の封止材を、従来に比べてより適切に剥離できる技術などからなる。2015年に始動したNEDOのプロジェクトを通じて開発した技術となる。