今回のシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)を担う中で遭遇してきたトラブル事例を紹介している。同社は、2007年に設立された電気設備工事企業で、太陽光の施工も多く担当してきた。O&Mでは、点検時に原因の分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特長となっている(関連コラム)。

 第2回は、パワーコンディショナー(PCS)の換気用のフィルターが目詰まりしたことによるトラブルを紹介する(図1)。太陽光発電所において、比較的多く生じるトラブルの一つとなっている。

[画像のクリックで拡大表示]
[画像のクリックで拡大表示]
[画像のクリックで拡大表示]
図1●埃や塵で覆われたフィルター
点検をはじめて担当した際に発見することが多い(出所:エネテク)
[画像のクリックで拡大表示]

 PCSは、太陽光パネルからの直流を、交流に変えて連系先の送電網に送電する。変換回路の心臓部であるパワー半導体素子は、直流を断続的にスイッチング処理する過程で発熱する。入力される太陽光からの直流が大きいほど、発熱の度合いは大きくなる。

 パワー半導体の排出する熱を、いかに効果的に発散するかが、PCSの性能を維持し、かつ、長期間の信頼性を確保する上で、重要になる。そのため熱の発散が不十分で、温度が上昇した場合、安全機能が働いて稼働停止となる機種が多い。

 エネテクによると、PCS内が過熱した場合、機種によって、安全機能の働き方に違いがあるという。「稼働停止」のほか、稼働を「抑制」する機種もある。一定以上の温度に上がると、稼働を「絞る」イメージで、一部だけを稼働させるモードに切り替わる。これにより、パワー半導体の発熱度合いが下がり、温度が所定よりも下がると、フル稼働を再開する。

 ただし、「停止」でも「抑制」でも、フル稼働しなかった間、売電ロスにつながる。

 こうした過熱によるトラブルを防ぐために、PCSは冷却機構を設けている。出入力の規模や機種によって、冷却機構は変わる。

 小型機の場合、主に吸排気口を通じた自然の空冷、または、吸排気口とファンの併用によって、熱を外に逃がし、外気を取り込むことで、過熱を抑える仕組みが多い。

 一方、メガソーラー(大規模太陽光発電所)向けの大型機の場合、吸排気口やファンに加え、PCSを収めた屋外設置用の筐体内の空気を冷やすために、空調機を使うことが多い。

 フィルターは、自然空冷、ファンの回転、空調機のいずれの手法を採用した場合でも、備えている。外気を通じて埃や塵などが、PCS内に入らないようにするためである。

 フィルターの清掃を怠って目詰まりすると、換気の機能が低下してしまう(図2)。第1回で紹介した「吸排気口からツル性植物のクズが侵入し、PCS内で繁殖した例」と同じように、冷却効果の低下で、PCSが停止する場合もある。

[画像のクリックで拡大表示]
図2●換気の機能が低下し、発電ロスや寿命の低下を招く
上はフィルター上を覆っているルーバー(立体的な切り起こし)を外したところ、下はフィルター(出所:エネテク)
[画像のクリックで拡大表示]