地権者44人・118筆をまとめ上げる

 こうしたファイナンススキームの構築と並行して、事業用地の交渉を進めた。特別高圧送電線に連系するメガソーラーの場合、10MWを超える規模のまとまった用地であることが事業性を確保する上で好ましい。

 「地権者との交渉では、楢葉町役場が前面に立って、汗をかいて進めてきた」と、楢葉新電力合同会社の猪狩克榮代表(職務執行社員)は振り返る。実は、猪狩さんも、町役場の元職員で課長として復興事業に携わってきた(図7)。

図7●楢葉新電力合同会社の猪狩克榮代表
(出所:日経BP)
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 町の復興計画では、高台で津波リスクの小さい北東部は、「産業再生エリア」として、企業を誘致するとともに、北部にはメガソーラーの建設を想定した。波倉地区もその一部だ。福島第2原発と近く、東電の特別高圧送電線との連系点が比較的、近いメリットもある。

 ただ、この地区では、新道の敷設や、他の復興関連施設の建設予定もあり、そうした場所を避けながら、地権者の意向を確認し、パネルの設置サイトを決める必要があった。設置効率を考えると、小さな飛び地を極力、少なくし、設置エリアを隣接させて固める方が好ましい。

 そして、最終的に44人の地権者から118筆の用地を賃借して農地転用した。それらは大きく4サイトになり、9工区に分けてパネルとパワーコンディショナー(PCS)を設置した。約8割のパネルは海岸沿いの高台に位置する1つの大きなメインサイト(6工区分)に設置し、残り2割のパネルは、1工区ずつとなる、谷沿いの3サイトになった(図8)。

図8●4サイトに分かれてパネルを設置した
(出所:A.P.アセットマネジメント)
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 高台のメインサイトから、谷沿いのサイトは、最大で1km程度離れていて、その間を22kVの地中ケーブルを自営線でつなぎ、最終的に架空線で66kVの東電の送電線に連系した(図9)。地中ケーブルは、県道や町道の下に敷設した。

図9●東京電力の66kVの特別高圧送電線に連系
(出所:日経BP)
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