自治体初の「GK‐TKスキーム」

 「波倉メガソーラー発電所」が、「地域の復興に役立つ」のは、被災地に立地し、津波や放射性物質汚染で未利用になった土地を活用したからだけではない。これに加え、発電事業の主体が、事実上、楢葉町になっており、事業収益が復興事業に使われるからだ。

 事業主体であるSPC(特定目的会社)の楢葉新電力合同会社(楢葉町)には、「一般社団法人ならはみらい」と東芝が出資した。同法人には、楢葉町が2億7000万円を出捐金として拠出している。SPCの資本構成は、ならはみらいが2億7000万円、東芝が2000万円。

 この2者の出資は、合同会社に対する「匿名組合出資」の形をとる。こうした仕組みを「GK-TKスキーム」と呼ぶ。GKは「合同会社」、TKは「匿名組合出資」の略称だ。合同会社の社員(出資者)は会社債務に対し有限責任とされ、出資額の範囲にリスクが限定される。出資者がエクイティ・ホルダー(自己資本保有者)の地位を得ながらも、経営は合同会社に委ね、利益配分を受け取れる利点がある(図6)。

図6●「GK-TKスキーム」の仕組み
(出所:日経BP)
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 今回の場合、ならはみらいの出捐金は楢葉町が拠出していることから、事実上、町がメガソーラー事業者として、利益の配当を受け取れる。事業計画では、ならはみらいは、年間4000万円程度の配当金を受け、復興のためのまちづくり事業に使う計画だ。自治体が、こうしたスキームでメガソーラー経営に参画したのは、全国で初めてと見られる。

 GK‐TKスキームによるSPCに対するプロジェクトファイナンスでは、大手企業が直接、SPCに出資する場合に比べ、ローン提供者のリスクが高まる。ただ、今回は、国と県の補助金制度を活用し、相対的にリスクが低くなっている面もあり、エクイティ(資本)の比率は10%で済んでいる。