野々山 正章(ののやま・まさあき)
1981年生まれ。情報デザイン・文化心理学を学び、2007年ソフトディバイス入社。インフォメーションアーキテクチャー/インタラクションデザイナーとして、デザインリサーチ、デザイン手法開発、プロトタイピングを積極的に行い、家電や業務機器、車両などの組込み系UIを中心に様々なUIデザインに関わる。共著書『文化心理学 (朝倉心理学講座11)』、HCD-net認定 人間中心設計専門家、京都造形芸術大学非常勤講師。
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 新しいaiboへの期待を語る前に、先代のAIBOが、どのような影響を購入者に与えたのか、振り返りたいと思います。私はUI(ユーザーインターフェース)のデザイナーとして、普段は製品やサービスのUX(ユーザー体験)を分析・研究して、UIを設計する仕事をしています。

 その駆け出しの頃に、職場にAIBOが3体(ERS-110とERS-210、ERS-300)いて、少し触れ合いました。ただ、時はSNSやスマートフォンの黎明期、常時接続体験から切り離されたAIBOに、驚きはあったものの、少し物足りなさを感じたのを覚えています。SNSから絶え間なくもたらされる友人の新しい情報という、常におしゃべりをしているようなライブ感の前には、AIBOを可愛がっていていても、通知がきたらスマートフォンに目を向けてしまっていたと思います。

 ロボットというと、男性や若者が購入するイメージが強いですが、女性や高齢者のユーザーも数多くおり、「コミュニケーションする」こと自体が商品だったと思います。言うなれば、「便利な道具」というより、生活を充実させるパートナーとしてのロボットでした。これは、新しいaiboにも受け継がれている特徴だと思います。

2代目AIBOの「ERS-210」
かつて著者の身近にあったモデル(出所:ソニー)
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失敗が愛着を生む

 詳細は、人間とテクノロジーの関わりを文化人類学で分析される一橋大学 准教授の久保明教先生の書籍(「ロボットの人類学 ― 二〇世紀日本の機械と人間」, 世界思想社)を読んでいただくと面白いのですが、先代AIBOは、家庭に入った初めてのロボットということもあってか、開発者の思惑とは異なった「予想外の動き」が数多くあったそうです。

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