白井 博士(しらい・はかせ)
東京工業大学知能システム科学専攻卒。博士(工学)。工科系私立大学准教授。VRとエンタテイメントシステムシステムや情報メディアに関する研究、教育、社会貢献など。エンタテイメントとコミュニケーションにかかわる数々の職業経験を持つ。科学コミュニケーション作家。著書「白井博士の未来のゲームデザイン: エンターテインメントシステムの科学」ほか。
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 筆者は先代「AIBO」と一緒に働いていた時期があります。博士取得後、フランスに移住して3年かけてVRエンターテインメントシステムの研究に従事したのち、2008年から東京・お台場にある日本科学未来館で「科学コミュニケーター」というお仕事をしていたからです。日本を代表する国立の科学啓蒙施設(科学館)である日本科学未来館のキャッチコピーは「科学がわかる・世界が変わる」です。

 このコピー通り、幅広い来館者に向け、先端科学を世に伝えるために楽しくてわかりやすい展示物を開発したり、イベントの企画をしたり、時にはフロアに立って来館者に実演や解説などを行ったりします。海外からのお客様に「日本の先端技術を短い時間でわかりやすく伝える!」というお仕事もあり、言語や文化的背景を超えた体験を設計する、困難でやりがいのある仕事でした。

ソニー本社に展示されている新型aibo
(撮影:編集部)
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 当時3階にあったロボット常設展示ゾーンでは、ホンダの「ASIMO」のような高度な歩行技術の実演ができるロボットに並んで、初代から歴代の「AIBO」や、さらに動物らしい見た目と、「触れる(さわれる)・抱ける赤ちゃん」という特徴を持ったアザラシロボット「パロ」が人気でした。ASIMOの実演が終わった後はいつも、ボランティアスタッフと一緒にたくさんの来場者とAIBOとともに触れ合ったり、質問に答えたり。まさに「AIBOは相棒」という職場でした。

触れるロボットだけが持つ「必殺技」

 公共の科学館のお客様は「科学技術を学びたい!」と主体的に科学館にやってくる人々だけではありません。「ただなんとなく」とか、「科学に興味ありません!」というお客様もきます。各国の要人も訪れます。科学コミュニケーターは、そういった言語や文化的背景を超えた人々の興味や関心を、短時間で理解し、直感的に科学の可能性や対話を引き出していくことが求められます。

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