日経エレクトロニクス2016年4月号のpp.102-114「試作~最終段階のEMC対策と、厳しい車載機器でも使える手法」を分割転載した後編です。前編はこちら

前回は、試作段階と、実測評価から規格試験に合格するまでの最終段階で重要となるEMC 設計の考え方と具体策のポイントを紹介した。今回は、車載システムなどに代表される極めて厳しいノイズ対策の事例について解説する。

 前回までに紹介してきたEMC対策は、一般の民生品など電子機器では十分な効果を発揮し得ると考えられる。逆に言えば、これらの対策を施してもなお残るノイズは、対策が非常に難しい問題である。特に車載関係は、民生品に比べて難度が高い。これは、自動車には約1.5mの車体内部に7~8mにおよぶ長いハーネスが張りめぐらされていることを考えれば、うなずけると思う。民生品では、このような長いアンテナを伸ばすことは考えにくい。

 試験でも、ボディーアースを模擬した導体の上に浮かせてバッテリーラインやその他の信号ラインを長く引き、ノイズレベルなどの測定や電波の放射を行う。放射ノイズ測定も、アンテナ長が1mになり、いわゆる3m法よりも単純計算で3倍厳しい。つまり、車載関係でのノイズは民生品に比べてなお一層の徹底したノイズ対策が必要ということである。

 ここではDCモーターノイズの対策フィルター回路について、ノーマルモードとコモンモード、さらに放射を見るCISPR25でフィルター効果を比較した事例を紹介する。使用する対策は、(i)Xコンデンサー、(ii)Yコンデンサー、(iii)コモンモードフィルター、(iv)ラインフィルターである。

 (i)Xコンデンサーは入力側のラインに設置する。ライン間に電位差が生じたとき、つまりノーマルモードのノイズを低減する。ただし、同相のコモンモードノイズでは効果がない。実機計測でもノーマルモードノイズの減衰、特に低周波数帯域のノイズ低減に大きな効果を発揮することが見て取れる(図8)。

図8 Xコンデンサーの特性と効果
左上が回路と特性。放射ノイズ、ノーマルモードノイズ、コモンモードノイズのグラフはスペクトラムアナライザーによるもので、対策前と対策後のノイズレベルを示している。
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