日経エレクトロニクス2015年12月号のpp.128-136「電磁的な影響を受けない、障害を与えない」を分割転載した後編です。前編はこちら

本連載では、量的にも質的にも変化しつつあるノイズ問題とその対応部品の活用について、その基本から各フローに沿って見直し、有効かつ効率的な対策手法を考えていく。今回は、デジタル信号におけるノイズの実態についてイメージを深めていく。

 今回は、デジタル信号におけるノイズの実態についてイメージを深めていきたい。

図5 デジタル信号処理回路のノイズ
アナログノイズは例えばオーディオでは雑音を発生させるだけだが、デジタル信号処理回路では、元の信号とはまったく異なる情報が伝わることになりかねない。
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 図5は、ノイズが加わることで起きる波形の変化を非常に単純に分かりやすくイメージ化したものである。矩形波の元情報にノイズが加わることで、波形が変化するだけでなく元の信号とはまったく異なる情報になってしまう。使用される信号の高周波化や低電圧化が進めば、誤った情報が機器の誤作動など重大な事故につながる可能性が増加する。

 次にノイズと周波数について考える。高周波成分がノイズ化しやすいことは先述した。これは矩形波に含まれる高次高調波だけでなく、基本の周波数についても同様である。もちろん立ち上がり/降下時間など他の要素も関係してくるが、まずは周波数が高くなるとノイズが増えるというイメージを把握しておくべきであろう。

 中でも、この原理によるノイズ源としてしばしば問題となるのが、クロック回路である。既にコモディティー化したシステムである高速化のためにクロック信号の立ち上がりと降下の両方を利用するDDRが一般的で多少事情が変化しているが、クロックは基本的に一定の周波数で0と1の信号が繰り返される。これにより同じ周波数成分のノイズが加算される状態を作り出してしまう。高速処理のためにクロック周波数が高いほど、ノイズを増産してしまうイメージだ。

DDR(Double-Data-Rate)=データ転送などで各回路の同期に用いられるクロック信号の、立ち上がりと降下の両方を利用して処理を高速化する技術。

 一方、データやアドレスの信号では0と1の繰り返しではなく、情報内容によって0あるいは1が連続するため、クロックほどノイズは重ならない。従ってノイズ対策ではまずクロック回路に注意を払うべきということである。

 なお、信号の時間方向のずれをジッターと呼ぶ。これが少ない方が動作を正確化できるため、ICとして高性能とされる。だがノイズ対策の面では、逆にジッターが増え、周波数成分のブレが増加することで、ノイズ成分の重なりが低減される効果がある。要求される確度にもよるが、このような事象があることも理解しておきたい。

ジッター(Jitter)=信号伝送において、信号を伝える波形の時間軸方向のゆらぎ。そのゆらぎによって生じる伝送信号の乱れ(映像の乱れなど)のこともジッターと呼ぶことがある。

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