宇宙航空研究開発機構(JAXA)は10月18日、月面の地下に全長約50kmもの長大な天然のトンネルを発見したと発表した。今回の研究成果は、日本の月探査機「かぐや」(2007年9月打ち上げ、2009年6月に月面に落下して運用終了)の観測データを使用して得られた。論文は同日付の米地質学論文誌「Geophysical Research Letters」のサイトでオンライン掲載された。

発見された天然トンネルの推定位置
マリウス丘の縦坑付近から約50km程度つながっているとみられる(出所:JAXA)
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 発見された天然トンネルは溶岩が流れた跡がトンネル状の空洞として残ってできたもの。地質学では溶岩チューブと呼ばれる。溶岩チューブは地球にもあり、日本では富士山麓の鳴沢氷穴などが有名だ。以前から月面には溶岩チューブが存在すると推定されていた。

 溶岩チューブは有人月面基地を建設する際の建設場所の候補となり得る。月表面に降り注ぐ宇宙放射線からのシェルターとして機能するからだ。また日光の影響も受けにくいので内部の環境が安定していると推定でき、理工学の実験・観測装置の設置場所としての利用も検討されている。

電波を使った観測結果を解析して発見

マリウス丘の縦坑の観測写真
2009年のかぐやの観測で直径50m、深さ50mの縦坑が発見されており、地下空洞に隕石衝突などで穴があいたものと推測されていた(出所:JAXA)
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 今回、溶岩チューブが見つかったのは、月の地球を向いている面(表側)の赤道よりやや北側のマリウス丘と呼ばれる地域。かぐやの観測によってこの場所には2009年に直径約50mの垂直の縦孔が発見されている。この縦孔は、溶岩チューブの一部が崩落して形成されたと推定されていた。その後、アメリカの月探査機「LRO」が斜め方向から縦孔を撮影して、孔の底が少なくとも孔の縁の直下から10m程度まで奥に広がっていることを明らかにした。しかし、縦坑の底から水平方向の溶岩チューブがどこまで伸びているかは、従来不明であった。

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