電気自動車(EV)に関わる情報収集のために大手自動車メーカーなどが訪れる金属加工業者が大阪・東大阪にある。量産品ではなく試作に特化して事業を展開する従業員45人(2017年4月時点)の繁原製作所だ。マシニングセンターやNC複合旋盤、5軸加工機、歯切り盤などの様々な工作機械を駆使し、量産設備を適用できない試作品を削り出しなどによって製作する。得意とするのは、高精度な歯車の加工や変速機の設計・製作である。

 そうした同社が近年力を入れているのが、EV用変速機の設計・製作である。同社では「技術の蓄積につながる」(同社社長の繁原秀孝氏)との考えから、自社製品の開発に取り組んでおり、その一つがEV用変速機である(図1、2)。

図1 繁原製作所社長の繁原秀孝氏
図1 繁原製作所社長の繁原秀孝氏
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図2 繁原製作所のEV用の6速MT
図2 繁原製作所のEV用の6速MT
トヨタ自動車のスポーツカー「86」をベースとしてEV化を図ったレース車両「FT86EV」に搭載しているもの。86純正のMT(手動変速機)のケースに収める。ただし、ケースの中央部は強度を上げるために別部品に置き換えている。
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 EV用変速機というと将来の電動化時代を見越した取り組みと想像するかもしれない。しかし、同社がEV用変速機の設計・製作に着手した直接的な理由は違っていた。EVでも変速機があった方がモーターや電池を小さくできると考える繁原氏の思いが、その取り組みへと同社を突き動かした。

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