1月23日から25日の3日間、テキサス州サンアントニオで電気事業をテーマにしたイベント「DistribuTECH」が開催された。米国では、エネルギーに関する展示会やカンファレンスが毎週のように開かれているが、DistribuTECHは別格の存在だ。

DistribuTECHは今年も熱かった
1月下旬、テキサス州サンアントニオで開催した
多数のカンファレンスと展示会で構成する

 このカンファレンスの主役は電力会社。今年も約300社の電力会社を中心に、1万3000人が参加した。米国の電力会社からの参加が最も多いが、アジアや欧州の電力会社も多数参加している。もちろん、日本の電力会社も参加している。

 DistribuTECHの主なテーマは、配電を中心とした新技術と電力会社の次なるビジネスモデル。例年、電力会社が日々苦労している配電網維持に関する地道な議論が全体の4割、将来の電力網管理に向けた新技術やビジネスモデルの議論が6割を占める。

 地道な変電・配電設備のメンテナンス方法から、ドローンを使った太陽光パネルの診断やAI(人工知能)などを活用したエネルギーマネジメントのあり方など、多様な議論が混在する。展示企業は大手企業中心でスタートアップ企業は少ない。そのせいか、カンファレンスそのものは地味な印象を受ける。

2018年は「強靭性」への関心が高かった

 初日に開催されたオープニングセレモニーは、今年も参加者の熱気に包まれた。DistribuTECHでは毎年、電力会社の取り組みを表彰している。今年は電力網の「強靭性(レジリエンシー)」に関する2つのプロジェクトが表彰された。

 1つが、米ニュージャージー州の電力会社であるPSE&G社が進めている「エネルギーストロングプロジェクト」である。これは、2012年に東海岸を襲ったハリケーンサンディーへの教訓として、より強靭性のある電力網の構築に取り組んだものだ。

 そしてもう1つが、カリフォルニア州の電力会社であるパシフィックガス・アンド・エレクトリック(Pacific Gas & Electric、PG&E)が進めるマイクログリッド「ブルーレイク・ランチェラ・プロジェクト」だ。詳しくは後述するが、太陽光発電と蓄電池、ディーゼル発電機を駆使して、系統電力なしに5日間、電力を供給できることを確認した。

 2017年の米国は自然災害が多かった。連続してハリケーンに襲われた。カリフォルニア州のナパバレーやロサンゼルス北部で起こった山火事は、未曾有の災害となり、多くのワイナリーや民家、商業施設、そして電力網にダメージを与えた。2018年に入ると、1月中頃から米国東部を寒波(INGA)が襲い、降雪による被害も大きかった。

 今、米国の電力関係者にとって、レジリエンシーは極めて関心の高い話題だ。今年の表彰には、こうした背景があったのだろう。

 電力網には、自然災害だけではなく、サイバー攻撃など悪意のある外部からの攻撃へのレジリエンシーも必要だ。この問題は、経済的合理性だけでは解決できない。ライフラインに責任のある行政は、電力会社や系統運用者(ISO/RTO)と協力し、よりレジリエンシーのあるグリッドを構築しなければならないというのが、カンファレンスにおける総意であった。