異業種から多くの新規参入を促した電力自由化のもう1つの神髄は「自由な料金設計」にある。単純な価格勝負では体力などに勝る大手電力を凌駕するのは容易でない。大手電力に真似できない料金設計こそ新電力の強みとなるはずだ。

 今回は、新電力が大手電力と競う中で大きな武器となる「料金設計の自由」について考えたい。

 新電力は大手電力と異なり、豊富に発電所を持たず、人員が限られ、ノウハウも乏しい。そのような中で新電力はここまで、善戦と言えるほど販売電力量を伸ばしている。

 電力・ガス取引監視等委員会が毎月公表している「電力取引報」を見ると、10電力エリアのそれぞれで、新電力の販売電力量シェアが、無視できないくらいに大きく成長していることが分かる。高圧に限ってみれば、都市圏である東京エリアで24.0%、関西エリアで28.4%が新電力に移っている。北海道エリアに至っては30%を超えている。もはや、大手電力であっても余裕しゃくしゃくと言える状況ではないだろう。

高圧・特別高圧分野で新電力のシェアが伸びている
エリア別新電力販売量シェア(出所:「電力取引報11月分」より著者作成)

 しかし、当の新電力に聞いてみると、まだまだ大手電力の方が圧倒的に強いという。

 いわく「入札案件で、大手電力はおよそ考えられない安値で入札してくる」「高圧施設で相見積もりとなったが、大手は30%割引という破格値を提示してきた」など、価格勝負ではかなわないという声は多い。

「安さ」だけが満足の理由ではない

 確かに高圧・特別高圧の事業系需要家に対しては、単純に電気料金を赤字覚悟で値引きする、いわば「力押し」が有効だ。資本力が十分で、消耗戦に強く、原子力発電所という格安電源の援軍が期待できる大手電力ならではの戦法とも言える。

 だが、実際には大手電力がシェアを落としている。しばしば、「信じられない安値」を提示してくるのは、大口の高圧・特別高圧需要家の奪還や維持が大手電力にとって至上命題になっていることの現れなのだろう。

 新電力は家庭など低圧分野でも順調に件数やシェアを伸ばしている。

 とは言え、2016年に自由化されたばかりの低圧は、高圧ほど新電力のシェア獲得が進んでいるわけではない。低圧では、電気料金の安さが、必ずしもすぐに購入先の切り替えにつながるわけではなさそうだ。