意識を人工的に再現する。野心的な開発目標を掲げるのがベンチャー企業のアラヤである。神経科学分野出身のCEOが一線級の研究者を率いる姿は、人工知能研究で世界のトップを走る米Google社傘下の英DeepMind社さながらだ。アラヤを支える意識の理論と実用化への道筋を、CEOの金井良太氏が3回にわたって語る。1回目は、人工的な意識の実装の鍵を握る「反実仮想的情報生成理論」とその応用を解説する。(聞き手=今井拓司)

金井 良太(かない・りょうた)氏
2000年に京都大学 生物物理学科 卒業。2005年、オランダUtrecht Universityで実験心理学のPhDを取得。米California Institute of Technologyにて、下條信輔教授のもとで視覚経験と時間感覚の研究に従事。2015年まで英University of Sussex准教授(認知神経科学)を務める。2015年にアラヤを創業し、代表取締役 CEOに就任。写真は「第2回 全脳アーキテクチャ・シンポジウム」での講演の様子。

 我々は、意識を人工的に作り出すことを目標に研究開発を進めています。「怪しいことをやっているな」と見られることも多いですが、地道に取り組んでいるという印象を持ってもらえる方が最近増えてきました。

 意識に関して、大きく2つの研究開発をしています(図1)。1つは、意識の機能に着目して、それを再現しようというものです。いわゆる強化学習の発展形といえる技術を開発しており、ロボットの制御の最適化に使おうとしています。もう1つは、生物や機械に意識があることを証明する研究です。統合情報理論を利用して、人工知能に意識があることを証明するのが目標です。

強化学習=環境と相互作用する機械(エージェント)の制御方法の設計手法で、環境から得られる報酬を将来にわたって最大化できる行動を選ぶように学習する。報酬や方策などの近似に深層学習を使う手法がある。
統合情報理論(Integrated Information Theory)=米University of Wisconsin, Madison校教授のGiulio Tononi氏らが提唱する意識の理論。特定の公理から出発して、情報の統合の度合いを表すΦという数値を導き、その値が高ければ意識が生じると考える。
図1 アラヤが取り組む2つの課題
(図:アラヤ)
[画像のクリックで拡大表示]

この先は有料会員の登録が必要です。今なら有料会員(月額プラン)登録で6月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら