日経Automotiveのメカニズム基礎解説「第14回:乗用車向け直噴ディーゼルエンジン」の転載記事となります。

ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンに比べて3割程度燃費が良く、欧州やインドなどで多く採用されている。最近では耐騒音や耐振動、排ガス性能が向上し、日本でも搭載車が増えている。今回は、乗用車向けエンジンの特徴を紹介する。

 ディーゼルエンジンは、圧縮高温にした空気に軽油を噴射することで自然着火させて燃焼する。気筒内に燃料を直接噴射する直噴式が主流である。

 ガソリンエンジンと異なり、燃焼中の燃焼室内には空気だけの部分も存在する。燃焼炎とシリンダー壁の間にある空気は、燃焼の熱を吸収して膨張しピストンを押し下げる圧力を生み出す。同時に、シリンダー壁からの熱の放出を抑えるのでガソリンエンジンと比べて熱効率に優れる。こうした基本特性を生かして、商用車などで普及してきたのがディーゼルエンジンである。

 かつてはシリンダーヘッドに副燃焼室を備え、その部分に燃料を噴射するタイプが多かったが、圧縮行程、膨張行程のどちらにおいてもポンピング損失が大きかった。燃料の噴射量を精密に管理できるようになると、副燃焼室のデメリットが目立つようになる。そこで大型商用車では早くから燃焼室内に直接燃料を噴く直噴化により、熱効率の改善に取り組んできた。

 乗用車用ディーゼルエンジンは欧州では長年、高いシェアを維持してきた。しかし日本では4WD(4輪駆動)車など堅牢性や走破性を重視したクルマを除き、騒音や排ガスの臭いなどが快適性を損ねることからユーザーも敬遠傾向にあり、設定されることがほとんどなく、輸入車も途絶えた時期もあった。

 ところが厳しい排ガス規制をクリアすることで、逆に国内でのディーゼルエンジンの存在価値が見直されている。排ガスを可能な限りキレイに、そしてディーゼルの問題だった振動を抑え、エンジンの応答性や高回転化といった要求に応えることで、見違えるように進化してきた。それに伴い、日本国内でもディーゼルエンジンを搭載した乗用車が増加傾向にある(図1)。

図1 直噴ディーゼルのシステム図
最近のディーゼルエンジンは厳しい排ガス規制をクリアしつつ燃費性能を高めるために、エンジン本体だけでなくターボチャージャーやEGR、SCR触媒やDPFといった後処理システムなどを組み合わせて一つのパワーユニットとしている。中でも燃料噴射装置はディーゼルエンジンの要であり、最近ではコモンレール式が多く使われている。
[画像のクリックで拡大表示]

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は申し込み初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら