本記事は、電子情報通信学会発行の機関誌『電子情報通信学会誌』Vol.100 No.8 pp.813-818に掲載された「4.無線伝送技術の進化と将来像 4-3 短距離無線通信技術」の抜粋です。本記事はオープンアクセスとなっておりますが、通常記事の全文を閲覧するには電子情報通信学会の会員登録が必要です。会員登録に関して詳しくはこちらから(電子情報通信学会の「入会のページ」へのリンク)。全文を閲覧するにはこちらから(電子情報通信学会のホームページ内、当該記事へのリンク)。『電子情報通信学会誌』の最新号はこちら(最新号目次へのリンク)。電子情報通信学会の検索システムはこちら(「I-Scover」へのリンク)。

1.標準化が行われる背景

 1990年代後半の無線LANの研究、開発、標準化の急速な進展及びパーソナルコンピュータに対する周辺機器の多様化に伴い、無線LANのようにAPを介することなく直接通信により、簡単に接続する需要が高まってきた。これが無線PANである。この普及促進にも、研究、開発以外に標準化が必要になり、1999年にIEEE802.11から独立する形でIEEE 802.15 ワーキンググループ(以下IEEE 802.15)が立ち上がった。

2.無線PAN の標準化

 IEEE 802.15 における主な標準化は表1にまとめる。短距離無線通信のアプリケーションイメージは様々であるため、IEEE 802.11 のように、全て添字が英語のプロジェクトだけではなく、.15の後に更に数字を付けて、カテゴリー分けをはっきりし、その後修正が必要である場合は、更に英語の添字を付けて追加の標準化を行う。表1において、802.15の標準化は大きく分けて四つに分類できる。表2に示すように最大伝送速度が数Mbit/s程度の低速無線PAN、最大伝送速度が10 Mbit/s 以上の高速無線PAN、アプリケーションに特化した無線PAN、両方のPANに利用できる共通技術である。

表1 IEEE 802.15 における主な標準化プロジェクト
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表2 IEEE 802.15.4 における主な標準化プロジェクト
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 低速無線PANの例として、Bluetoothとして商用化されている802.15.1、及びWi-SUN、ZigBeeの名前で商用化されている802.15.4が挙げられる。高速無線PAN の例として、UWB(Ultra-wideband)の名前で知られる802.15.3が挙げられる。アプリケーションに特化した無線PANはBody Area Network(BAN)で知られる802.15.6、可視光通信(VLC:Visible LightCommunication)で知られる802.15.7等が挙げられる。共通技術の標準化としてはメッシュネットワークの方式を標準化した802.15.5、Key Management Protocolを標準化する802.15.9、データリンク層でルーチングを行う802.15.10等が挙げられる。この中でも実際に大きなビジネスにつながっているのは低速無線PANである。また、注目すべき標準化は、高速無線PANである。

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