前回に引き続き、Bluetoothモジュールと各種センサーを搭載した米Silicon Laboratories社(以下、Silicon Labs社)の「Thuderboard React Derby ミニチュア・カー・キット キット」を試用する。試すのは電子技術を使ったメディアアート作品の製作も手掛けるネット系技術者の新里祐教氏(GMOインターネット 特命担当技術分析官)だ。今回のIoT開発キットは同梱のミニチュアカーを使い、文字通り“モノのインターネット"をすぐ試せるものだった。少年だった頃を思い出しつつ、工作が始まった。

 今回は「Thunderboard Reactキット」に付属のミニチュアカーを製作して評価ボードを取り付け、タイヤの回転数や速度、移動距離を測定していこう。

 Silicon Labs社の日本語表示に従って「ミニチュアカー」と言ってきたが、英文の説明書などにはDerby Car(ダービーカー)と書いてある。筆者はこの開発キットを触るまで、ダービーカーを全く知らなかった。正式には「パインウッド・ダービーカー・レース」という大会で使用されるマシンであった。

 このダービーカーレースは、米国のボーイスカウト(6~10歳)を対象とした人気のレースらしい。レースの仕組みは簡単。"パインウッド=松の木"をベースにして、プラスチックのタイヤを装着したマシンを作り、サーキットとなる坂から走らせて早くゴールすることを競う。マシンの重さ、寸法、利用できるパーツはレギュレーションで決められている。シンプルなマシン構成なだけに、少しのチューニングが試合結果を左右することになるだろう。

 さぁ、実際にダービーカー(ここからはミニチュアカーではなく、ダービーカーと呼ぶ)を製作していこう。

 ダービーカーを製作するための部材は開発キットに付属しているが、他にもドライバーとホットボンドが必要になる。ドライバーは恐らく一家に1つはあるだろう。そしてホットボンドは100円均一ショップで「グルーガン」として売っている。

まずThunderboard Reactを木のベースに取り付ける
写真左のうち、上の青色部分がキットに付属するもの。タイヤ、くぎ、ネジ、ナット、磁石、シール、ボディー、木のベースとThunderboard Reactが用意されている。下の黄色部分が製作で必要になる、ドライバーとホットボンド。まずはThunderboardを木の枠に取り付ける(写真右)。ネジに基板の真ん中の2つの穴と木のベースを通して、ネジとナットでしっかり締める。
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 まずは木のベースに、評価ボードである“Thunderboard React"をネジとナットでしめて、しっかり固定する。

 次に、キットに付属する磁石をホットボンドでタイヤに取り付ける。タイヤの内側に磁石を置いて、その上からホットボンドで固定する。評価ボードのホールセンサーが、タイヤに取り付けた磁石に反応することで、タイヤの回転数、速度や移動距離を計測できる仕組みだ。

タイヤに磁石を取り付ける
タイヤに磁石をホットボンドで取り付ける。タイヤが回転するとき、ホールセンサーがこの磁石を検知して回転数が分かり、進んだ距離や速度を計測できる。
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 シンプルな計測方法だが、これは3相ブラシレスモーター(BLDCモーター、ブラシレスDCモーター)を制御する時も利用される方法だ。BLDCモーターを駆動させるには矩形波・正弦波・ベクトル制御など色々な方法があるが、いずれにしてもBLDCモーターの磁石の位置をホールセンサーで検知することで回転数の制御を行うことができる。以前、筆者は電動バイクのレースで、BLDCモーター制御をホールセンサーで検知して回転数の制御を行ったことがある(関連記事)。高速に動作するモーターの場合、マイクロ秒(μs)オーダーでの位置検知と回転数制御が要求される。

 サクッと磁石をホットボンドで固定したら、次はタイヤの取り付けだ。

 タイヤはプラスチック製で、真ん中にくぎを通す穴が開いている。このタイヤの穴にくぎを通して、木製ベース裏面の溝にくぎを取り付けた後、くぎの上からホットボンドを付けて固定する。ここで注意が必要なのが、磁石付きのタイヤの向きだ。磁石がThunderboard Reactのホールセンサー側になるように取り付ける必要がある。

タイヤを木のベースに取り付ける
木製ベースの裏面にはくぎを入れる溝がある。そこにタイヤをはめたくぎを打ち込み、くぎが取れないように溝の上からホットボンドを使って固める。この時、Thunderboard Reactのホールセンサーのある部分に磁石付きタイヤがくるように設置する。
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