早いもので東日本大震災から丸7年が経った。東京電力・福島第1原子力発電所事故は、原子力の安全神話を壊し、東電の経営を揺るがし、電力・ガスシステム改革の扉を開けた。再生可能エネルギーは飛躍的に普及し、電力・ガス全面自由化も迎えた。だが、いずれも道半ばだ。日本のエネルギー政策がどこへ向かおうとしているのか、どうも見えにくいのだ。エネルギーアナリストの大場紀章氏は、「エネルギー政策の根幹とも言える原子力政策に整理が付いていないことがすべての要因」と分析する。原発事故の瞬間から、激動の変化を辿った日本のエネルギー政策を大場氏に改めて読み解いてもらった。

原発事故から7年目の3月11日、東電・福島第1原発では黙祷と役員訓示が行われた

 今、東京電力の元幹部を相手に、原発事故を防げなかった責任を問う「刑事裁判」が行われていることをご存知だろうか。東電に損害賠償を求める民事訴訟は、既に400件近く起こされているが、事故の責任を直接問う刑事訴訟は実はこれが初めてだ。

 2度も不起訴処分となったが、検察審査会の2度の起訴議決によって強制起訴に至り、6年越しで2017年6月に初公判が開かれた。2月28日には第4回の公判があった。今後、のべ20人を超える証人が法廷に呼ばれ、集中審理が行われる予定だ。

 この裁判の奥深くに横たわっているのは、「原発事故の責任を誰も取っておらず、あいまいなまま」という、おそらく多くの日本人が心のどこかで感じているモヤモヤとした感覚だろう。

 この公判の一方で、経済産業省は新しい「エネルギー基本計画」の取りまとめの議論を進めている。

 固定価格買取制度(FIT)の導入から6年が経ち転機を迎えている再生可能エネルギーのあり方やシェール革命の影響、全面自由化された電力・ガス事業の今後のあり方などを議論している。さらに、温暖化ガスの削減を約束した「パリ協定」に基づいて、2030年までに進めなければならない原発再稼働と、2050年までの原発のあり方も議論の俎上に上っている。

 私は、このエネルギー基本計画の議論の奥にも、先に挙げた刑事裁判に似た奇妙なモヤモヤを感じる。コストや技術、制度など、理路整然とした議論が行われているはずが、どうしても「なぜ今こんな議論をしているのだろう」という思いが拭えない。

 その原因は、多くの人は忘れてしまったかもしれないが、現在のすべてのエネルギー政策の議論の奥底に、依然として原子力のモヤモヤが横たわっているからではないかと思うのである。

 誤解を恐れずはっきり言ってしまえば、現在の日本のエネルギー政策が抱える問題のほとんどすべてが、震災当時の政府の原発事故に対する「対応のまずさ」に端を発している。

再生可能エネルギーを最大限活用するため、世界レベルで蓄電池や水素システムなどの電力貯蔵ビジネスが活発化しています。主要企業20社と典型的な22プロジェクトについてビジネスモデルを明らかにするとともに、インテグレーター、オペレーター、サービスプロバイダー、エネルギーソリューションベンダーなど、関連企業の戦略も分析。先行する欧米から今後のビジネスを読み解きます。詳細はこちらをごらんください。