2月までの厳しさが一転し、3月の卸電力市場は穏やかさを取り戻した。取引量も急増し、その姿は自由化が目指す本来の市場のあり方を指し示す。市場の健全さが高まれば、需要家は自由化のメリットを最大限に享受できる。

 2018年3月、日本卸電力取引所(JEPX)における前日スポット価格は前月から一変した。それまでの厳しい展開が嘘だったかのように、電力市場価格は低位で安定した(グラフ1)。

3月は一転して穏やかに
グラフ1●2~3月の東京・関西の価格の推移(出所:日経エネルギーNext電力研究会)

 2月は30数年ぶりという寒さを各地で記録した。これに、一部の旧一般電気事業者の「燃料制約」(LNG調達量不足)や「大型電源の事故停止」が重なり、電力価格の高騰が続いた。冬の電力価格は、オフィス需要が高まる時間帯(7~10時)や夕方の電灯需要が高まる時間帯(17~21時)に20円/kWhを超える高値が恒常化した。1月下旬から2月上旬にかけて30~50円/kWh台という超高値も出現した。

3月の売り玉は前年の3倍
グラフ2●スポット市場の売り入札量の推移(出所:日経エネルギーNext電力研究会)

足元は買いも前年の2.5倍
グラフ3●スポット市場の買い入札量の推移(出所:日経エネルギーNext電力研究会)

1日の約定量が3.5億kWhまで増加
グラフ4●スポット市場の約定量の推移(出所:日経エネルギーNext電力研究会)

 だが、3月は2月までと打って変わって、気温が例年より高めに推移した。下旬にかけて、3月としては観測史上の最高気温を、全国の2割以上の地点で記録。下旬にかけて晴天が続いたことで太陽光による発電が増えたことも、限界費用の安い電源の売り入札を促した。大型電源の脱落はなく、むしろ関西電力・大飯原子力発電所や九州電力・玄海原子力発電所の再稼働が価格の低位安定にも貢献したと思われる。

 こうした状況を踏まえて、JEPXにおける売買入札量や約定量などの推移を総括しておきたい。

 グラフ2はJEPXにおける前日スポット市場の売り入札量だ。

 3月になって売り入札量が前年比3倍近くまで上昇しているのが分かる(前年同日比。曜日の調整はしていない)。タイミングによっては、5倍近くの日もあった。一方で、買い入札量の方は着実に増加し、足元で2.5倍近くに増加している(グラフ3)。

 約定量も3月になって増加のペースを上げ、3月30日渡しはついに3.5憶kWh/日を超えた。前年比で4倍を超え、日によっては6倍近い(グラフ4)。