今冬の卸電力市場は異様な高騰ぶりだった。にもかかわらず、電力が当日は余っていた日が少なくなかった。電力の「当日余剰問題」は大手電力の小売部門の利益をかさ上げし、送配電部門の収支を圧迫する。2017年10月の新ルールや新規制で解消に向かうことが期待されていたが、むしろ再燃しているおそれがある。

 今年の冬は、日本最強クラスの寒気に覆われることが多く、1月下旬から厳しい寒さが続いた。東京都心では1月29日まで8日連続の冬日となり、これは34年ぶりと報じられた。月が改まっても2月9日までに4日連続の冬日となり、こちらは30年ぶりの記録となった。

 数十年に一度の寒さであれば、電力需要も急伸する。この状況下で東京電力グループは大型火力の事故停止に見舞われ、揚水発電も発電可能量の減少が予測された。そのため、最終需給調整を担う東電パワーグリッド(PG)は、1月下旬から2月上旬にかけてと2月22日の計7日間、他エリアから電力の緊急融通を受けた。

 隣接する東北電力および中部電力エリアをはじめ、関西・北陸・北海道からも合わせて、1回当たり130万~263万kW規模の融通になった。昼間の電力不足を補うべく、夜間に揚水発電用の水を汲み上げるために夜間電力の補給を受けた。

 こうした状況は卸電力市場(JEPX)の前日スポット価格にも反映され、朝のオフィス需要の立ち上がり時間帯(7~10時)、および夕方の電灯需要時間帯(17~21時)で20円/kWhを超える高値が恒常的に発生した。

 それまで、今冬のスポット価格は西日本が高い西高東低が顕著だったが、この時期ばかりは東京エリアが高値をリードした。1月24日渡し以降で30円/kWh台、2月2日渡し以降は50円/kWh台へと急上昇。そして、2月9日渡しの東京エリア朝7時台で、ついに57.98円/kWhに達した。エリア間の緊急融通が優先され、スポット市場への売り投入が劣後したのは明らかだ。

 一方で、この冬における当日の実需給を反映するインバランス精算価格はどうだったか。

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