北海道エリアの卸電力市場価格が、電力需要が減る春になっても高値に張り付いている。北海道地域の新電力は苦しい電力調達を強いられている。高値要因の精査が求められる。

 「北海道の卸電力価格は異常な状態が続いている。正常なビジネスができない」。北海道エリアで電力小売りを手がけている新電力幹部は厳しい表情を浮かべる。

 冬場、全国的に高騰した電力市場価格だが、3月に入り気温が上昇してからは落ち着きを取り戻し、足元では平穏な“春相場”が続いている。

 しかし、北海道エリアだけは別だ。今も異様な高値のままである。

 下のグラフは4月25日水曜日受け渡しの北海道エリアプライスとシステムプライス(全国価格の指標)を比較したものだ。北海道の価格は、需要が少ない夜間でも全国価格に比べて数円程度高い。需要が増える昼間時間帯は10円程度高いことも珍しくない。1年の中でも需要が比較的少なく、平穏なはずの春相場においても、北海道エリアはおおよそこのような状態が継続している。

全国価格からかけ離れて高い
北海道エリアの電力市場価格(4月25日)

グロスビディングで高値買い

 北海道と本州の間は連系線制約が大きい(送電容量が小さい)ため、全国価格との乖離(市場分断)が頻繁に生じる。特に全面自由化以降、北海道エリアは他の多くのエリアに比べて高値傾向にあった。

 だが、「昨年と比べても今年のこの時期の高値は異常で、他のエリアとの乖離も大きい」(新電力幹部)。北海道は相対的に気温は低いものの、冬場に比べれば、1日の最大需要は2割ほど減っている。

 北海道エリアで小売りを展開している複数の新電力が疑いの目を向けているのが、「グロスビディング」の取り組みを介した北海道電力による市場からの“高値買い”だ。

 グロスビディングは、大手9電力が市場活性化などの観点から2017年6月に始めた「自主的取り組み」の1つで、販売電力の一部について、スポット市場(実需給の1日前に取引する卸電力市場の主要市場)にいったん売って、買い戻す両建て取引を言う。大手電力の小売部門は販売電力の一部を、新電力などと同じ市場価格で調達することになり、発電部門から見れば新電力に対するのと同じ価格で小売部門に売り渡すことになる。取引の透明性や公平性を高める効果があるとされる。