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動きだす遠隔診療(page 5)

2018年度診療報酬改定で評価へ、医療現場はエビデンス構築に動く

2017/06/26 11:00
大下 淳一=日経デジタルヘルス

診療報酬改定は2段構えで

 もう一つの推進策である診療報酬改定での評価も、遠隔診療の活用を望む現場からは強く切望されてきた施策である。現状では、保険診療で遠隔診療を行う場合に算定できるのは、再診料(72点)や処方箋料(6種類以内の薬の投薬の場合で68点)にとどまる。外来管理加算(52点)や特定疾患療養管理料(診療所の場合で225点)をはじめとする指導料・管理料は算定できない。

 このほか、遠隔診療で初診を行った場合には初診料が算定されない。つまり、初診を遠隔診療とする診療は、現状では自由診療の枠組みで行わざるを得ない。

 遠隔診療を提供する医療機関にとって、経営上の観点からはこうした診療報酬上のデメリットは小さくない。サービス事業者からは「対面診療とほぼ同質の診療をオンラインで提供できており、患者の利便性向上などにもつながっていることを考えれば、現状の診療報酬での評価はアンバランス」(メドレーの島氏)、「少なくともディスインセンティブになっている状況は是正されるべき」(ポートの春日氏)といった声が上がる。

 ポート 事業開発部 ポートメディカル担当 医師の園生智弘氏は「都市部と地方における医療の状況の違いを、遠隔診療の診療報酬に反映してほしい」と訴える。同社は宮崎県で、無医師地区における遠隔診療の活用に関する実証事業を行っている。その経験から「在宅シフトが叫ばれる一方で、地方では医師の移動に要するコストが大きいため、在宅医療に積極的な医療機関は少ない。そうした地域では遠隔診療の活用が有用であり、医療機関からの距離などの地理的条件が診療報酬でも考慮されることが望ましい」(園生氏)としている。

医療法人社団鉄祐会理事長でインテグリティ・ヘルスケア代表取締役会長の武藤真祐氏は「遠隔診療は、医療の質と財政的負担のトレードオフを緩和し、患者と医師と国にとっての“3方よし”を実現する手段になる」と話す(写真:栗原克己)
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 次期診療報酬改定で遠隔診療をどのように評価するかについては、第7回未来投資会議に塩崎厚労相が提出した資料に、基本的考え方が示されている。そこでは、2018年度改定に向けて診療報酬上の評価を行うとし、評価例として「オンライン診察を組み合せた糖尿病等の生活習慣病患者の効果的な指導・管理」「血圧、血糖等の遠隔モニタリングを活用した、早期の重症化予防」の2点を挙げている。

 その上で「さらに有効性・安全性等に関する知見を集積し、2020年度以降の改定でも更に反映」するという。つまり、遠隔診療の有効性や安全性に関する知見(エビデンス)の集積度や成熟度を見定めながら、2018年度改定とそれ以降の改定という2段構えで、対面診療との診療報酬のギャップを埋めていく方針と見られる。

 第7回未来投資会議で、オンライン診療を始めとするICTの有用性や普及策を提言した医療法人社団鉄祐会理事長でインテグリティ・ヘルスケア(東京都中央区) 代表取締役会長の武藤真祐氏は、2018年度改定における評価が小幅なものにとどまる可能性を指摘しつつ、「オンライン診療の効果検証を促すためにも、利用者を広げるための一定の促進策は必要だ。診療報酬上のインセンティブがその後押しになることは間違いない」と話している。

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