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動きだす遠隔診療(page 3)

2018年度診療報酬改定で評価へ、医療現場はエビデンス構築に動く

2017/06/26 11:00
大下 淳一=日経デジタルヘルス

幅広い疾患領域でニーズ

「当初はオンライン診療を導入することへの不安を口にする医師もいたが、実際に運用が始まるとそうした懸念は解消され、問題となるような事態は起こっていない」と話すメドレー 執行役員/医師の島佑介氏
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 都市部の診療所を中心に、こうした遠隔診療サービスを日常診療に取り入れる医療機関も徐々に増えてきた。医療ITベンチャーのメドレー(東京都港区)が2016年2月に提供を始めた遠隔診療サービス「CLINICS」は、2017年6月までにほぼ500施設が導入。「当初はビジネスパーソン向けの利用が大半を占めると想定していたが、産婦人科や高齢者診療向けなどを含め、非常に幅広いニーズがある。患者にとっては利便性向上につながり、医療機関にとっても未受診者の受診促進や、既存患者の治療継続率改善につながっている」とメドレー 執行役員/医師の島佑介氏は話す。

 精神科・心療内科への遠隔診療の活用に向けて、2016年1月に新六本木クリニック(東京都港区)を立ち上げた同院院長の来田誠氏は、同年2月に他の医療機関に先駆けてCLINICSを導入した。「育児に追われ通院の時間を自由に持てない患者や、休職から職場復帰したばかりで通院に時間を割くことが心理的負担になりやすい患者などにとって、オンライン診療はよいオプションとなっている」と来田氏は話す(関連記事4)。

 精神科疾患の中でも、遠隔診療に特に向くタイプも明らかになってきた。その一つが、繰り返し手を洗うことがやめられないといった、いわゆる強迫性障害である。「診察室という日常とは異なる場では、繰り返し行為などの“普段の困りごと”が現れにくく、曝露反応妨害法(認知行動療法の一種)による病状コントロールなどにつなげにくい。オンライン診療では、患者の実生活において『今この時間だけは繰り返し行為を我慢しよう』といった効果的な指導ができる」(来田氏)。

「医療はこれまで、患者の経済的負担や身体的侵襲度は低減してきたが、受診に伴う時間や労力には手が打たれてこなかった。遠隔診療はその解決に向けた手段として有用だ」と話す新六本木クリニック院長の来田誠氏
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 新六本木クリニックで、治療継続率改善などへの遠隔診療の効果が既に具体的な数字として表れてきたのが、自由診療(保険外診療)として提供している禁煙外来である。初回を対面診療で行った後、2週間後、4週間後、8週間後にビデオチャットでのフォローアップと禁煙治療薬の継続処方を行う。「禁煙外来に通うのは、喫煙者の中では禁煙への意識が高い患者だが、それでも通常の禁煙外来のプログラム完遂率は50%ほど。オンライン診療を組み入れることで、この数字が80%ほどに高まった」と来田氏は説明する。

 2017年6月に開催された「第66回 日本アレルギー学会学術大会」では、花粉症に対する舌下免疫療法における遠隔診療の効果が明らかになった。成果を発表した法山会 山下診療所(東京都)は2016年4月に、情報医療(東京都千代田区)の遠隔診療サービス「curon」を導入。花粉症に対する舌下免疫療法を過去3カ月以上にわたり受けていた患者76人を、対面診療を行う群(58人)と遠隔診療を利用する群(18人)に分け、2016年9月~2017年4月の8カ月間における治療継続率を比較した。その結果、対面診療群の治療継続率が83%だったのに対し、遠隔診療群では94%という高い治療継続率が得られたという。

 このように、医療現場での有用性が徐々に見えてきた遠隔診療。その活用をさらに後押ししようと、政府は今後、二つの施策を打ち出す方針である。一つは遠隔診療をめぐる解釈をより明確にするための、厚労省からの新たな事務連絡の発出。もう一つは冒頭で触れた次期診療報酬改定での評価である。

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